Around The Mercedes vol.5
A-Class meets Art.
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Photo_TAWARA(magNese) / Text_Kaori Takayama
2018.12.20 UPDATE

12月20日(木)に開催される「BEAMS × Mercedes-Benz Supported by HOUYHNHNM」のイヤーエンドパーティ。このパーティに、アートで華を添えてくれるのが、合成写真の旗手としてデジタル黎明期より活躍する写真家P.M. Kenさんと、精微なコラージュアートで活動の幅を拡げているアーティスト河村康輔さん。お題はただひとつ。「Aクラスを使う」ということだけ。果たして両氏は、Aクラスになにを感じ、どう作品に落とし込んでいったのか。その制作背景をレポートします。

P.M.Kenと合成写真の出会い。

大学時代、工業デザインを専攻しながらも、カメラマンアシスタントとして4年間アルバイトをしていたP.M. Kenさん。大学卒業と同時に、自然の流れで写真家として独立。そこからオリジナリティを追求するようになり、たどり着いたのが、デジタルによる合成写真でした。

「ぼくが写真家としてデビューした1990年代って、カラー写真はラボに出してプリントするのが普通だったんです。もちろん自宅でできる機械もあったんですけど、駆け出しだったので買えるわけもなく。暗室で、液体につけて現像することもできるのですが、狙った色を再現するのが難しい。そんな時に、アメリカでは『Mac』で『フォトショップ』を使って、カラー写真を現像していることを知ったんです」

その後、いまとは比べものにならないほど高級品だった「Mac」を中古で買い、カラー写真を現像していたP.M. Kenさん。でも、当時のデジタル画像は、アナログには到底及ばないクオリティでした。

「解像度がとにかく低くて、アナログの方が圧倒的にきれいだったんですよね。そこで、アナログの真似をしていてはダメだと感じて、合成をするようになっていったんです」

Aクラスの近未来感と、相反するアナログさを表現したい。

「クルマは目線の高さで見るのが一番きれいだと思うんですけど、上からのほうがスケール感は出る。なので、今作はあえてAクラスを上から撮影しました」

「今作は、CGは一切使用せず、カメラで撮影したものだけで組み立てています。だから、よく見ると、周りの背景はビルがとぐろを巻いているだけですし、窓を見ると反対側の建物が写り込んだりしています。今回のAクラスも最先端なテクノロジーを駆使していますが、人間ありきですよね。そんな雰囲気も出したかったんです」

上記2作品は、1月上旬(仮)まで「メルセデス ミー 東京」にて、200cm×107cmの大判サイズで展示されています。細かい部分までみると、新たな発見があるはずです。最後に、ゲレンデヴァーゲンが愛車のP.M. Kenさんが思う、新型Aクラスの印象を伺いました。

「今までのクルマとは一線を画していて、ハイブリッドカーが登場したときと同じ印象を受けました。今後は各社が、学習機能を搭載したクルマをつくっていくんでしょうね。あと、いいクルマの基準は、いくらでも走れちゃうってところだと思っていて、その点Aクラスは乗っていてもストレスがない。疲れもしない。MBUXの機能にフォーカスされがちですけど、乗り心地もいいですよ」

河村康輔と新型Aクラスが出会ったときの話。

代表的なコラージュの作品をはじめ、アートディレクターとしても手腕を振るうアーティスト河村康輔さんですが、10月に発売された「ビームス」と〈メルセデス・ベンツ〉のアパレルアイテムを、真っ先に買いに走ったといいます。その直後、図ったかのように、今回の作品制作の依頼を受けたのだそう。

「仕組まれてるんじゃないかと疑うほどタイミングがよかったですね(笑)。僕も、免許を取りたての頃に、縁があって80年代のメルセデスを乗っていたこともあり、迷わずお受けしましたけど」

河村さんの作品は“コラージュを用いてAクラスをラッピングする”というもの。河村さんの代名詞である「シュレッダーで裁断したイメージ画像を、ずらしながら再構築する手法」が用いられています。

「打ち合わせ時に見せてもらった新型Aクラスのカタログの中に、数枚イメージカットがありました。一般的にクルマのカタログというと、クルマが街中を疾走しているシーンのカットがあると思うのですが、なぜかプールサイドにクルマがあるという穏やかな、まるで絵画のような写真だったんです。僕が普段コラージュの手法として取り入れているシュレッダーを使用することの特徴として、写真を絵画のように見せるということがあります。そこがリンクして、これを使うことに決めました」

今作の素材となったAクラスのカタログの1ページ。

コラージュとは、一般的には複数の素材を組み合わせる創作技法。ですが、河村さんのそれは、1枚のモチーフしか使わない。シュレッダーで細かく裁断された紙を、元の形より少しだけずらし、再構築していくのです。

「元の画像は同じなのですが、ルーフとリア部分は先行して、PC上で画像を作りました。でも、ボンネットは直に貼っていかなければいけない。正直こんなに大きな作品を作ったことがなかったので、どう進めていけばいいのか、考えてるだけで4日ほど費やしてしまいました…。で、いまやっと半分ほどまでたどりつきましたね(取材時)」

機能と価格に衝撃を受けたAクラス。

河村さんは新型Aクラスにどんな印象を抱いているのか。

「パソコンの中に乗るような感覚でした。走らなくても、車内のシステムだけで十分楽しめます(笑)。トラックパッドがあって、運転しながら声でナビの操作ができたり、電源に接続せずに置くだけで携帯が充電できたり。クルマってここまできたんだって思いましたね。ただ、宣伝を抜きにして、価格帯にも衝撃を受けまして、本気で購入を迷っています。本気で(笑)」

写真家とアーティスト、そしてAクラス。3者が織り成す作品は、「メルセデス ミー 東京」で1月上旬(仮)まで展示予定です。

<会場>
Mercedes me Tokyo
住所:東京都港区六本木7-3-10
www.mercedesme.jp

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