ファッション誌、広告、俳優、ミュージシャンのスタイリングを手掛ける気鋭のスタイリスト、橋本敦さん。さまざまな車種を乗り継いできたそうで、現在の愛車はメルセデスのGクラス。そもそも橋本さんは大のクルマ好き。自分自身の感性に「響く」クルマがあれば、国内外の車種を問わずスペックやデザインディテール、ユーザーの声など気づくと調べているそうです。最近気になっていたというメルセデスの新型Aクラス。今回試乗していただき、Aクラスの評価について本音を語っていただきました。
―現在の愛車はG 350 dなんですね。この車種が橋本さんにとってのファースト・メルセデスなんですか?
いいえ、違います。以前からメルセデスが好きで何台か乗り継いできました。今乗っているG 350 dは4年前に乗り換えて、その前もゲレンデのG500で3年半くらい乗ったかな。その前もメルセデスE55 AMG(W210)でした。ファースト・メルセデスは99年式のC43 AMG(W202)。といっても続けてメルセデスを乗り継いだのではなく、途中G500の前にしばらく他社に3回浮気していました(笑)。でも乗り換えを繰り返してもフィーリングがいまひとつ合わなくて、結局メルセデスに戻ってきたというわけです。ゲレンデには特別な憧れがあって、いつかは乗りたいと考えていたんですが、思いのほか早いタイミングでいい車両と出会い乗ることになり、今に至っています。
―ゲレンデを目標にした理由は何かあったんでしょうか?
特には理由はなかったと思います。90年代後半この業界にアシスタントとして入り、知らぬ間に憧れていた車がE 320をはじめE36 AMGなどのW124型でした、ドイツ車の洗練性と無駄のない完成されたデザインに魅了されたんだと思います。僕は東京出身ですが、地元の方ではいまのように外国車はまだまだ多くはなかったと思います。10代の頃はアメ車好きでしたが、気づくとメルセデスに惹かれていました。いつかはW124と思っていましたが、自分の欲しいコンディションの状態の車両とは出会えぬまま時間が過ぎていました。時間とともにW124への気持ちも薄れた頃に、当時洒落た先輩方がGクラスに乗っているのを見てどことなく憧れていたと記憶してます。セダンも好きなんですが、スタイリストという職業柄セダンでは積載量が足りなく何より荷物が積めることが条件なので、それなら荷室も広くて質実剛健な自分好みのデザインのゲレンデがぴったりだなって。そんな流れだったと思います(笑)
―ゲレンデの使い勝手はいかがですか?
オン・オフ問わず、自分のライフスタイルにフィットしていますね。リアトランクが広く、天井高もあるので、アイロンを掛けた衣装やスーツを吊るして撮影現場へ運べるんです。オフタイムでは最近始めたロングボードが車内にぴったり収まりますし、ゴルフバッグやキャンプギアもたくさん積めるので、使い勝手においては言うことありません。
―今回は新しいAクラスを体験していただきました。Gクラスとは対照的な部分が多いモデルとは思いますが、ファーストインプレッションはいかがですか?
まずルックスが抜群にいい。僕がクルマを選ぶ決め手は「デザイン=佇まい」なんです。クルマに限らず、腕時計でもカメラでも、僕の場合は機能以上にデザインに魅かれて購入に至る場合が多いように思います。過去のAクラスはコロンと可愛らしいデザインでしたが、最新のAクラスはかなり洗練されていてスポーティ。購買層の幅がかなり広がると思いますね。
―メルセデスが手掛けるエクステリアデザインについてはどういった印象をお持ちですか?
最近特にクラスごとのデザインの差異がなくなってきたように感じてます。それってユーザーからすると、純粋にメルセデスのブランド力が際立つ流石と思わせるポイント。一般的にですが、まわりからクラスを識別されにくいので意外にうれしいもののような気がします。とはいえよく見るとクラスそれぞれにフロント・リアのデザインに個性があって、A、C、E、Sに限って言うとクラスアップするほど顔つき(特にライトまわり)が強めなレイアウトになっている気がします。あくまでも僕の感覚ですが。そういった意味では、この新型Aクラスの顔つきはシンプルなんだけど都会的な印象を与えてくれるバランスの良い仕上がり。行き過ぎないデザインもメルセデスの魅力と思っています。もしかしたらターゲットの購買層に合わせて、顔つきを少しずつアレンジしているのかな。そうだとしたら、そのクラスごとのデザイン設定の感覚というかセンスが抜群ですねメルセデス!(笑)。車のデザインはいつかやってみたいことのひとつです。
―ぜひインテリアデザインについても印象を聞かせて下さい。
まず運転席に座ると、コックピットのディスプレイがガツンと目に飛び込んできます。これがまたワイドディスプレイでとても視認性がいい。カーナビのマップが広範囲で確認できるのが便利ですね。シートは柔らかすぎない絶妙な塩梅。僕自身ちょっと硬めが好きなので、このシートは非常にしっくりきました。
―こうしたデジタルなインパネや、ナチュラルボイスで各種操作が可能なMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)など、イノベーティブな技術を積極的に導入するメルセデスの新たなアプローチについてはどう思いますか?
むしろ大歓迎ですね。機能性が優れているに越したことはありませんから。個人的には見た目はクラシックで、中身は最先端のようなバランスが好き。カーナビ、エアコン、オーディオなど各種操作がボイスコントロールできるうえに、コックピットディスプレイをタッチパッド感覚で操作することもできる。さらにハンドルを握ったままでも、ハンドルに操作系のボタンが集約されているので、ここでもさまざまな操作ができる。気分や場面によって使い分けられるのがうれしい。せっかくなのでMBUXの凄さを体験してみましょうか。「ハイ、メルセデス! お台場海浜公園まで案内して」。うん、ボイスコントロールのレスポンスもいいですね。
―MBUXには学習機能があり、情報を蓄積しながらオーナーの好みやよく行く目的地を解析し、適した候補を挙げてくれるんです。
それはすごいですね。クルマとの親密性が深まっていく感じで、まるで相棒のような存在になっていきそう。それからセンターコンソール前方の小物入れにスマホを置くだけで、ワイヤレスチャージングができるのには感動しました。インパネ周りのデザインで強いていうならば、これは僕の好みにすぎませんが、エアコンの吹き出し口のデザインが若干インパクトが強いかも。もう少し控えめなら文句なし。その他のインテリアデザインはパーフェクトじゃないかな。
―実際にハンドルを握ってみて、ドライブフィーリングはどうでしょうか?
まず運転席周りが想像以上に広い。高さもあるので身長180cmくらいの人でも窮屈に感じないのでのではないでしょうか。ハンドリングはゲレンデに乗り慣れているので、最初こそ軽く感じましたが、クイックで小回りがきくので快適に走れますね。ギアの変速もスムースなので加速も減速も滑らかですし、ブレーキも変に利きすぎないからガクンとならない。サスペンションはやや硬めでしょうか。全体的にスポーティなドライブフィールが味わえる仕上がりだと感じました。
―新型Aクラスはメルセデス最高峰のSクラスと同等の安全性能を搭載しています。その性能を実感したところはありましたか?
アクティブブラインドスポットアシストは、やっぱり安心感がありますね。死角にクルマがいる時に、ドアミラーにレッドの三角マークが光って警告してくれる機能です。並走車と近すぎて走っていたり、レーンチェンジする際に安全性を確保してくれます。高速道路などで思わずぼーっとして隣のクルマに近づきすぎている時にハッと気づかせてくれます。
―新型Aクラスはどんなユーザーに向いているクルマだと感じましたか?
キビキビとした走りやスポーティなルックス、ほどよいコンパクトさから考えると都市生活者には最適な1台です。特に操作系はデジタルガジェット的なので、30~40代のユーザーには使い心地も含めてジャストフィットすると思います。
―まさに新型Aクラスがターゲットにしているコアな年齢層がそのあたりなんです。
初めてメルセデスを買う人にもおすすめできます。たとえば洋服にはブランドやロゴに付加価値が生まれてしまうことがあって、品質と価格がアンバランスなものが少なくありません。しかし新型Aクラスはメルセデスのブランドネームで選んだとしても、その期待を決して裏切らない。しっかりとメルセデスならではの走りや違い、ステータス性を感じられるパッケージだと思います。以前までは確かにAクラスはロークラスのイメージが浸透していました。しかし新型Aクラスになって、見事にグレードを意識させなくなっていると思います。
―デザインでクルマを選ぶ傾向がある橋本さんにとっては、新型AクラスのA 180 Edition1も気になるのではないかと思いますが。
そうですね。ノーマルのA 180が322万円(今回の試乗車はA 180)。特別限定車のEdition*(注1)が479万円。好みは分かれると思いますが、Edition1はエクステリアとインテリアがさらにブラッシュアップされ、よりスタイリッシュなデザインに着地している。ブラックカラーのホイールがまたストイックで、イエローグリーンのリムも魅力的。フロントスポイラーやリアスカートにもイエローグリーンのアクセントをあしらっていて、もしも新型Aクラスを自分が買うとしたら相当悩むと思います。
注1:限定車のため在庫には限りがございます。詳しくは正規販売店へお問い合わせください。
―最後にぜひ新型Aクラスの総評をしていただきたいです。
生意気に点数をつけさせてもらうとしたら、正直90~95点あげていいほど、デザイン、機能、走行性がバランスよくまとまっています。それじゃあ褒め過ぎで説得力がないよと言うなら、エアコンの吹き出し口のデザインがちょっと強すぎかな(笑)。でもこれは僕の好みですもんね。あとは欲を言うなら高速運転もう少し足回りのパワーが欲しいくらい。ただしタウンユースならまったく申し分ない。ゲレンデと比べすぎちゃっているかもしれないですね。ならばあとは……うーん、あえて厳しく粗探しをしてみてもそれ以外に欠点が見つからない。それほど完成度が高いクルマです。大のクルマ好きを自負している僕が、ここまで高く評価するクルマはめったにないので、逆に驚きました(笑)。
橋本敦(スタイリスト)
スタイリストの三田真一氏に師事し、1999年に独立。『OCEANS』『UOMO』など多数のファッション雑誌をはじめ広告、また俳優・ミュージシャン・タレントのスタイリングも手掛け、時には自ら衣装製作も行う。アパレルのブランディングアドバイザーも務め、幅広い分野で活躍している。趣味はゴルフ、テニス、アウトドア、スポーツ観戦に加え、昨年よりサーフィンをはじめたそう。来年スタイリスト20周年を迎え、新たな視点からのスタイリングを思案中。国内外のクルマに対する知識や造詣も深く、新型モデルは常にチェックしている。
12月20日(木)に開催されたイヤーエンドパーティ「Hi, Beams」。大いに盛り上がった1日の様子をレポートします。
ビームス内でも大のドライブ好きとして知られる敏腕男性プレス&女性ディレクターに聞いた、いますぐ行けるドライブコース。
ヴィンテージやオールドモデル好きな空間・プロダクトデザイナー、二俣公一さんが紐解く、新型Aクラスの機能性とデザイン性について。
鎌倉に住んで10年。ビームスのメンズカジュアル部門のディレクターを務める中田慎介さんが語る、新型Aクラスのある暮らしとは。
P.M.Kenさんと河村康輔さん。両アーティストがAクラスを題材にアートを作ると、いったいどんな作品が生まれるのか。
自身のバンド、ペトロールズの歌とギターを担当し、様々なアーティストのサポートやプロデュース業も行う神出鬼没の音楽家・長岡亮介さんのプレイリストトーク。
新型Aクラスにまつわる10の魅力。
ラジカセから流れてくるMCの声は、いつも一方通行だった。ハガキやFAXを送って、運が良ければこちらのリクエストに応えてくれたけど、基本的にはいつも誰かの好きな曲をジッと聴いているだけ。でも、「MBUX」はちがう。「ハイ、メルセデス」の一声で、音声入力に対応。運転中、プレイリストにあるお気に入りの曲をリクエストすれば、その曲をすぐに流してくれる。もちろん道案内や、空調などの車内環境にもバッチリ対応。ドライブをよりスムーズなものにしてくれる。
優れたデザインには、それに見合うくらいの使える機能が伴っていて欲しい。たとえば家にある椅子。かっこいいのは当たり前で、犬もぐっすり眠っちゃうくらいの快適性が欲しい。新しいAクラスはもちろんその両方を兼ね備えている。ブラックを基調に、アクセントとしてシルバーがあしらわれたインテリアは、クール&ラグジュアリーな装い。シートの座り心地もストレスフリーだし、従来に比べてスペースが広く感じるように設計されているので、快適性も申し分なしなのだ。
コートを颯爽と駆け巡り、貪欲にポイントを獲得したマイケル・ジョーダン。その手にボールが渡れば、誰も彼を止めることができなかった。バスケットボールのコートは決して大きくはない。だからこそ、全力のダッシュと機敏な動きが求めらる。新しいAクラスのエンジンは、より軽量になりながらも排気量を削減し、エンジン騒音も低減。またトランスミッションもシフトの作動が素早く、変速もスムーズ。つまり、ジョーダンに負けじと劣らないスポーティな走りが特徴なのだ。
自動運転技術は人々の安全にも向けられている。高速道路での渋滞の最後列に接近したときや、交差点では歩行者や車両の飛び出しに対して自動でブレーキをかけてくれて、なおかつ回避したあとにクルマが車線内に入るように運転をアシストする機能まである。万が一衝突したときに備えて屈強な設計になっていると同時に、大きな衝突音による耳への負担を減らすシステムも搭載。これらは歩行者や周りのクルマだけじゃなくて、自分自身をも守ってくれるということ。
クルマに乗ってどこへ行こう? 家族と小旅行、あるいは恋人と買い物などなど。クルマがあれば行動範囲が広がるが、いずれにせよ荷物は多くなる。そんなときはファッションにもアウトドアにも通用する、フィッシィシングベストのような万能で高い収納力が必要だ。でも大丈夫。新しいAクラスには、広く改善されたラゲッジルームが存在する。奥行きも幅もプラスされ、なんと29L分の増量に成功し、370L(※欧州参考値)もの容量を誇る。これなら仲間とのゴルフだって安心だ。
幼い頃、夢の中でいつもドライブをしていた。助手席には一緒に眠るぬいぐるみがいて、ラジオをかけたり、空調を調整してくれた。新しいAクラスに搭載された「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」も、そんなドライブの相棒役を務めてくれる。インパネ横のディスプレイは、スイッチやパッドではもちろん、スクリーンに直接タッチして操作することも可能。しかも、ユーザーの行動を学習し、行きたい場所、好みの曲の提案をしてくれる頼れるヤツなのだ。
自動お掃除ロボのルンバの誕生には多くの人々が驚いた。地雷探査機のノウハウを家庭に応用し、文字通り“自走”で掃除してくれる便利なロボ。自走といえば最近ではクルマだってオートマチックなシステムを持ち、ドライブのアシストをしてくれる。しかも、その機能はどんどん向上しているのだ。たとえば車線検知機能では、消えかかった不明瞭な車線も検知してくれたり、高速道路で渋滞にハマった場合は、前走車に合わせて自動で発進してくれる。まったく便利すぎる世の中だ。
暗闇のなかを運転していると、ピカッとリフレクターが光り、そこに何かがあることを知らせてくれる。だけど、新型Aクラスの場合は暗闇じゃなくても(もちろん暗闇でも)センサーでさまざまなものを感知し、ドライバーに知らせてくれる。たとえば道路の標識をフロントガラスに付属されているカメラで読み取って注意を促してくれたり、手ばなし運転を検知するとゆるやかに減速してくれたりなど。でも、くれぐれもセンサーに頼りすぎないように注意したいところだ。
90年代に夢中になって遊んだゲームボーイ。持ち歩けるゲーム機なんて、当時は画期的すぎた。でも、いまはどうだろう? ゲームボーイはもはや“レトロ”に分類され、家でも外でもみんなスマホをいじっている。いろんな技術やテクノロジーが街中にあふれているのだ。スクリーンをタッチしたり対話しながら操作する「MBUX」や、さまざまなオートマチックシステムを搭載した新型Aクラスは、ある意味では最新の装備をまとった新しいガジェットのようなものなのかもしれない。
女の子は美しいラインのデザインに弱い。きっと指輪を欲しがるのもそのせいだ。淀みなく流れるような流麗なデザインは、身につけていても気持ちよさを感じる。だから、Aクラスのエクステリアにもうっとりするにちがいない。風の流れを計算した角のないラインと、品があってスマートなルックス。それにダイナミックさと、どこかスポーティな要素も加わっている。優しさと力強さが調和したデザインには、きっと生粋のクルマ好きですら思わず感嘆の声をあげてしまうだろう。