Focus On A-Class vol.02
Interview Stylist
Atsushi Hashimoto
Hi! Mercedes TOPFocus On A-Class vol.02
Photo_Fumihiko Ikemoto / Text_Masaki Takahashi /
Edit_Jun Nakada
2018.12.07 UPDATE

ファッション誌、広告、俳優、ミュージシャンのスタイリングを手掛ける気鋭のスタイリスト、橋本敦さん。さまざまな車種を乗り継いできたそうで、現在の愛車はメルセデスのGクラス。そもそも橋本さんは大のクルマ好き。自分自身の感性に「響く」クルマがあれば、国内外の車種を問わずスペックやデザインディテール、ユーザーの声など気づくと調べているそうです。最近気になっていたというメルセデスの新型Aクラス。今回試乗していただき、Aクラスの評価について本音を語っていただきました。

知らぬ間に
メルセデスにはまっていた。

―現在の愛車はG 350 dなんですね。この車種が橋本さんにとってのファースト・メルセデスなんですか?
いいえ、違います。以前からメルセデスが好きで何台か乗り継いできました。今乗っているG 350 dは4年前に乗り換えて、その前もゲレンデのG500で3年半くらい乗ったかな。その前もメルセデスE55 AMG(W210)でした。ファースト・メルセデスは99年式のC43 AMG(W202)。といっても続けてメルセデスを乗り継いだのではなく、途中G500の前にしばらく他社に3回浮気していました(笑)。でも乗り換えを繰り返してもフィーリングがいまひとつ合わなくて、結局メルセデスに戻ってきたというわけです。ゲレンデには特別な憧れがあって、いつかは乗りたいと考えていたんですが、思いのほか早いタイミングでいい車両と出会い乗ることになり、今に至っています。

―ゲレンデを目標にした理由は何かあったんでしょうか?
特には理由はなかったと思います。90年代後半この業界にアシスタントとして入り、知らぬ間に憧れていた車がE 320をはじめE36 AMGなどのW124型でした、ドイツ車の洗練性と無駄のない完成されたデザインに魅了されたんだと思います。僕は東京出身ですが、地元の方ではいまのように外国車はまだまだ多くはなかったと思います。10代の頃はアメ車好きでしたが、気づくとメルセデスに惹かれていました。いつかはW124と思っていましたが、自分の欲しいコンディションの状態の車両とは出会えぬまま時間が過ぎていました。時間とともにW124への気持ちも薄れた頃に、当時洒落た先輩方がGクラスに乗っているのを見てどことなく憧れていたと記憶してます。セダンも好きなんですが、スタイリストという職業柄セダンでは積載量が足りなく何より荷物が積めることが条件なので、それなら荷室も広くて質実剛健な自分好みのデザインのゲレンデがぴったりだなって。そんな流れだったと思います(笑)

―ゲレンデの使い勝手はいかがですか?
オン・オフ問わず、自分のライフスタイルにフィットしていますね。リアトランクが広く、天井高もあるので、アイロンを掛けた衣装やスーツを吊るして撮影現場へ運べるんです。オフタイムでは最近始めたロングボードが車内にぴったり収まりますし、ゴルフバッグやキャンプギアもたくさん積めるので、使い勝手においては言うことありません。

洗練されていて
スポーティなルックスがいい。

―今回は新しいAクラスを体験していただきました。Gクラスとは対照的な部分が多いモデルとは思いますが、ファーストインプレッションはいかがですか?
まずルックスが抜群にいい。僕がクルマを選ぶ決め手は「デザイン=佇まい」なんです。クルマに限らず、腕時計でもカメラでも、僕の場合は機能以上にデザインに魅かれて購入に至る場合が多いように思います。過去のAクラスはコロンと可愛らしいデザインでしたが、最新のAクラスはかなり洗練されていてスポーティ。購買層の幅がかなり広がると思いますね。

―メルセデスが手掛けるエクステリアデザインについてはどういった印象をお持ちですか?
最近特にクラスごとのデザインの差異がなくなってきたように感じてます。それってユーザーからすると、純粋にメルセデスのブランド力が際立つ流石と思わせるポイント。一般的にですが、まわりからクラスを識別されにくいので意外にうれしいもののような気がします。とはいえよく見るとクラスそれぞれにフロント・リアのデザインに個性があって、A、C、E、Sに限って言うとクラスアップするほど顔つき(特にライトまわり)が強めなレイアウトになっている気がします。あくまでも僕の感覚ですが。そういった意味では、この新型Aクラスの顔つきはシンプルなんだけど都会的な印象を与えてくれるバランスの良い仕上がり。行き過ぎないデザインもメルセデスの魅力と思っています。もしかしたらターゲットの購買層に合わせて、顔つきを少しずつアレンジしているのかな。そうだとしたら、そのクラスごとのデザイン設定の感覚というかセンスが抜群ですねメルセデス!(笑)。車のデザインはいつかやってみたいことのひとつです。

―ぜひインテリアデザインについても印象を聞かせて下さい。
まず運転席に座ると、コックピットのディスプレイがガツンと目に飛び込んできます。これがまたワイドディスプレイでとても視認性がいい。カーナビのマップが広範囲で確認できるのが便利ですね。シートは柔らかすぎない絶妙な塩梅。僕自身ちょっと硬めが好きなので、このシートは非常にしっくりきました。

―こうしたデジタルなインパネや、ナチュラルボイスで各種操作が可能なMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)など、イノベーティブな技術を積極的に導入するメルセデスの新たなアプローチについてはどう思いますか?
むしろ大歓迎ですね。機能性が優れているに越したことはありませんから。個人的には見た目はクラシックで、中身は最先端のようなバランスが好き。カーナビ、エアコン、オーディオなど各種操作がボイスコントロールできるうえに、コックピットディスプレイをタッチパッド感覚で操作することもできる。さらにハンドルを握ったままでも、ハンドルに操作系のボタンが集約されているので、ここでもさまざまな操作ができる。気分や場面によって使い分けられるのがうれしい。せっかくなのでMBUXの凄さを体験してみましょうか。「ハイ、メルセデス! お台場海浜公園まで案内して」。うん、ボイスコントロールのレスポンスもいいですね。

―MBUXには学習機能があり、情報を蓄積しながらオーナーの好みやよく行く目的地を解析し、適した候補を挙げてくれるんです。
それはすごいですね。クルマとの親密性が深まっていく感じで、まるで相棒のような存在になっていきそう。それからセンターコンソール前方の小物入れにスマホを置くだけで、ワイヤレスチャージングができるのには感動しました。インパネ周りのデザインで強いていうならば、これは僕の好みにすぎませんが、エアコンの吹き出し口のデザインが若干インパクトが強いかも。もう少し控えめなら文句なし。その他のインテリアデザインはパーフェクトじゃないかな。

都市生活者に最適な1台。

―実際にハンドルを握ってみて、ドライブフィーリングはどうでしょうか?
まず運転席周りが想像以上に広い。高さもあるので身長180cmくらいの人でも窮屈に感じないのでのではないでしょうか。ハンドリングはゲレンデに乗り慣れているので、最初こそ軽く感じましたが、クイックで小回りがきくので快適に走れますね。ギアの変速もスムースなので加速も減速も滑らかですし、ブレーキも変に利きすぎないからガクンとならない。サスペンションはやや硬めでしょうか。全体的にスポーティなドライブフィールが味わえる仕上がりだと感じました。

―新型Aクラスはメルセデス最高峰のSクラスと同等の安全性能を搭載しています。その性能を実感したところはありましたか?
アクティブブラインドスポットアシストは、やっぱり安心感がありますね。死角にクルマがいる時に、ドアミラーにレッドの三角マークが光って警告してくれる機能です。並走車と近すぎて走っていたり、レーンチェンジする際に安全性を確保してくれます。高速道路などで思わずぼーっとして隣のクルマに近づきすぎている時にハッと気づかせてくれます。

―新型Aクラスはどんなユーザーに向いているクルマだと感じましたか?
キビキビとした走りやスポーティなルックス、ほどよいコンパクトさから考えると都市生活者には最適な1台です。特に操作系はデジタルガジェット的なので、30~40代のユーザーには使い心地も含めてジャストフィットすると思います。

―まさに新型Aクラスがターゲットにしているコアな年齢層がそのあたりなんです。
初めてメルセデスを買う人にもおすすめできます。たとえば洋服にはブランドやロゴに付加価値が生まれてしまうことがあって、品質と価格がアンバランスなものが少なくありません。しかし新型Aクラスはメルセデスのブランドネームで選んだとしても、その期待を決して裏切らない。しっかりとメルセデスならではの走りや違い、ステータス性を感じられるパッケージだと思います。以前までは確かにAクラスはロークラスのイメージが浸透していました。しかし新型Aクラスになって、見事にグレードを意識させなくなっていると思います。

―デザインでクルマを選ぶ傾向がある橋本さんにとっては、新型AクラスのA 180 Edition1も気になるのではないかと思いますが。
そうですね。ノーマルのA 180が322万円(今回の試乗車はA 180)。特別限定車のEdition*(注1)が479万円。好みは分かれると思いますが、Edition1はエクステリアとインテリアがさらにブラッシュアップされ、よりスタイリッシュなデザインに着地している。ブラックカラーのホイールがまたストイックで、イエローグリーンのリムも魅力的。フロントスポイラーやリアスカートにもイエローグリーンのアクセントをあしらっていて、もしも新型Aクラスを自分が買うとしたら相当悩むと思います。
注1:限定車のため在庫には限りがございます。詳しくは正規販売店へお問い合わせください。

―最後にぜひ新型Aクラスの総評をしていただきたいです。
生意気に点数をつけさせてもらうとしたら、正直90~95点あげていいほど、デザイン、機能、走行性がバランスよくまとまっています。それじゃあ褒め過ぎで説得力がないよと言うなら、エアコンの吹き出し口のデザインがちょっと強すぎかな(笑)。でもこれは僕の好みですもんね。あとは欲を言うなら高速運転もう少し足回りのパワーが欲しいくらい。ただしタウンユースならまったく申し分ない。ゲレンデと比べすぎちゃっているかもしれないですね。ならばあとは……うーん、あえて厳しく粗探しをしてみてもそれ以外に欠点が見つからない。それほど完成度が高いクルマです。大のクルマ好きを自負している僕が、ここまで高く評価するクルマはめったにないので、逆に驚きました(笑)。

橋本敦(スタイリスト)
スタイリストの三田真一氏に師事し、1999年に独立。『OCEANS』『UOMO』など多数のファッション雑誌をはじめ広告、また俳優・ミュージシャン・タレントのスタイリングも手掛け、時には自ら衣装製作も行う。アパレルのブランディングアドバイザーも務め、幅広い分野で活躍している。趣味はゴルフ、テニス、アウトドア、スポーツ観戦に加え、昨年よりサーフィンをはじめたそう。来年スタイリスト20周年を迎え、新たな視点からのスタイリングを思案中。国内外のクルマに対する知識や造詣も深く、新型モデルは常にチェックしている。

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新型Aクラスにまつわる10の魅力。