メディアクリエイターの肩書で多彩な分野の第一線で活躍しているハイロックさんは、免許を取得して以来メルセデスを乗り継いできた生粋のメルセデス好き。現在は2台を所有し、その1台がバネオだそうです。そして今回、Aクラスがフルモデルチェンジする噂を耳にするや、いてもたってもいられず発売前のAクラスを体験試乗するために千葉県にあるメルセデス・ベンツ日本の習志野事業所を訪れました。なかでも「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)」という最新のテクノロジーが気になっているそうです。
メルセデス・ベンツ日本(以下:M):
2018年10月に発表する新型Aクラスをいち早く体験していただくために、ご来社いただきありがとうございます。なんでもハイロックさんは筋金入りのメルセデス・ラヴァーと伺っていますので、ぜひたっぷりと実車を見て、触れてみて下さい。どんな感想をいただけるのか、ハラハラ、ワクワクしています。
ハイロック(以下:H):
今日をずっと楽しみにしていました! 僕はいまバネオに乗っているだけに、新しいAクラスの進化や変化が気になっていましたから。まずはファーストインプレッション。デザインが初代や2代目Aクラスに比べて、格段に洗練されていますね。今度のAクラスは何代目にあたるんですか?
M:この最新Aクラスは4代目にあたります。実は3代目よりデザイン革命というフィロソフィを掲げ、スポーティ&スマートなデザインにリニューアルしました。今回のAクラスは顔付きが非常に特徴的で、ヘッドライトは鋭い上がり眉のようで、非常にシャープな印象を放っていると思います。
H:あくまで持論なのですが、僕の中で“メルセデスのヘッドライト理論”というのがあって、メルセデスのヘッドライトは世代ごとにすごく特徴があって、初めて見る時はちょっと違和感をおぼえるんですよ。でも3~4年経つとそれがやけにカッコよく見えてきて、他車のヘッドライトが“ちょっと違うかも”って思う瞬間がくるんですね。つまりそれだけメルセデスのデザインは先を行っていたのかと、必ず気づく時がくる。これがいつも不思議で(笑)、同時にメルセデスの凄さだと感じています。
M:今回も多くの人にとって、そう思える瞬間がきてくれたらうれしいですね(笑)。最近では女性のお客様でも、スポーティなデザイン嗜好が高まっています。特にこのAクラスのメインターゲットは、30~40代のアクティブなお客様を想定していますので、そういう方々にフィットするデザインだと自負しています。これまでメルセデスに親しまれてこなかった世代に向けて、グッと身近になったメルセデスとして楽しんでしていただきたいと思っています。
H:ということはプライスも現実的? いや、これは最後に伺うことにしましょうか(笑)。ところで、最もイノベーティブな機能として、MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)を搭載したことだと予習してきました。詳しくはわからないのですが、これはどういった機能なのでしょうか?
M:基本操作のほぼすべてを音声でコントロールできる機能です。エアコンの調整、(トップ)ブラインドの開閉、ライトのオンオフ、ラジオの選局、目的地へのナビゲーションなど、ドライバーの声でコマンド操作ができるんです。もちろんこれまでもボイスコントロール機能はあるにはありましたが、圧倒的に変わった点は自然対話型の音声認識が可能になったところです。例えば“ちょっと暑いよ”とか“TOKYO FM聴きたいな”といった普段の日常会話を拾って認識してくれます。
H:それはうれしいなあ。これまでの音声認識機能って、ちょっとよそゆきのような言葉で接しないといけなかったですもんね。しっかりと文法を意識した言葉を発しないと拾ってくれなかった。でもこれなら気楽に使えますね。これはダイムラー社独自開発のテクノロジーなんですか?
M:そうです。反応もかなり早く、ストレスフリーで使用できます。ぜひ一度試してみて下さい。“ハイ、メルセデス”と発話すると、音声認識機能がスタートします。
H:では…ハイ、メルセデス。ちょっと暑いな(MBUX:24度にします)。おお、25度から1度設定温度を下げてくれましたね。次は、ブラインドを閉めて(MBUX:電動ブラインドを閉めます)。今日の天気は?(MBUX:今日の習志野市の天気は雨。気温は14℃と19℃の間になる予想です)。すごいなあ。じゃあ渋谷に行きたいな。(項目をお選び下さい、ルートを計算します)。数種類のルートがフロントのタッチスクリーンに出ましたね。これをタッチしてもいいわけですね。
M:そうです、さすがにすんなり使いこなして下さいますね。今回のAクラスではフロントパネルにタッチスクリーンを導入しました。音声認識を使わなくても、基本操作をタッチスクリーンで行えます。その他に、運転席の左サイドのセンター部分にタッチパッドを装備しており、そこでも各種基本操作が行え、またステアリングにも各種操作が可能なボタン類を集約しています。音声認識を含めて4種類の操作方法を、好みやシチュエーションに応じて任意で選べる仕様になっています。
H:Aクラスもここまでかゆい所に手が届く仕様にアップデートしたのかと思うと感慨深いものがありますね。いやしかし、A、B、Cといったクラス分けはグレードの高さを表しているわけじゃないんですよね?
M:はい、誤解されがちなのですが、あくまでもクラスの違いはスタイルのカテゴライズなんです。先ほども申し上げたようにAクラスは、若い世代にこそ乗ってほしいクラスです。スマホに慣れ親しんだ世代を想定していますから、タッチスクリーンや音声認識機能など抵抗なく使いこなせていただけると考えています。他にもスマホをワイヤレスで充電できるワイヤレスチャージングなども全車標準で装備しています。デジタルネイティブ世代に受け入れられやすい仕様や設計を随所に採用しています。
H:だからボディがシャープなデザインなんだ、納得です。ハッチバックタイプだから荷物もたっぷり積めて、十分な居住性もあるからファミリーカーとしても使えて、でもファミリーカーしすぎていないから若いお父さんひとりでもカッコよく乗れちゃう。絶妙なバランスを体現していると感心しました。となればあとはプライスですか。30代,40代でも手が届く価格設定なら言うことなし。オプションなしで350万円以下からならバンザイです(笑)。どうですか?
M:価格は322万円から。それでヘッドライトはハロゲンではなくLEDで、MBUXやワイヤレスチャージング、リアビューカメラも標準装備されています。さらに、ナビやSクラスレベルのセーフティ系オプションをつけても364万円です。
H:これはもうバンザイ三唱ですよ(笑)。憧れのメルセデスが身近になった。しかもこれだけのハイテク仕様で。では最後に基本情報として、エンジンの排気量とカラーバリエーションを教えていただけますか?
M:エンジンは完全新設計の1.4Lターボチャージャー付き。しっかりとキビキビした走りを実感できます。環境性能も向上しています。カラー(※1)は、黒、白、赤、ダークシルバー、ベージュ系シルバー、ガンメタリックグレーの6色。他に数十台限定でマットグレーもラインアップしています。
※1(正式名称):コスモブラック、ポーラーホワイト、ジュピターレッド、モハーベシルバー、イリジウムシルバー、マウンテングレー
H:これはAクラスブームが巻き起こるかもしれないなあ。僕にとっても気になる1台になりましたね。少なくともこれから初めてメルセデスを買ってみようと思う人に絶対オススメしたいですね!
新型Aクラスを体験したハイロックさんに総括の意味を含めて、率直な感想を伺ってみました。
メルセデス愛に満ちたハイロックさんだからこその評価、そして要望までも存分に語っていただきました。
今まで常に1台は所有してきたほどメルセデスは超大好きですから。免許を取った直後に70年代の縦目のクラシックベンツを買い、その後に初代Aクラス、そして今はバネオが愛車です。この他に敬愛するスティーブ・ジョブズが乗っていたAMGのSL55も秘蔵しています。この1台はコレクションとしてずっと保管しておくつもり。1か月に1回エンジンをかけてはいますけれど。
スティーブ・ジョブズがファーストカーに選ぶクルマがメルセデスだったんですよね。なぜ彼が惹かれたかはアップル好きだとよくわかるんですよ。SLは凄くスピードが出るスポーツカーなのですが、決して威張っていない。これってマックブックの思想と同じで、凄い高速処理ができるコンピュータなのに偉そうじゃないっていうね。メルセデスとアップルは社風や思想が近いんじゃないかな。アップル好き=メルセデス好き。僕はまさにそれです(笑)
クルマに求める条件は3つあって“速い”“コンパクト”“大きい”が重要。どれかに特化して突き抜けているクルマに魅かれますね。まず速いスポーツカーは男にとって永遠の憧れ。コンパクトさについては、大企業の社長やシリコンバレーのトップのような進んだ人ってエコロジーな思想もふまえてコンパクトなクルマを選んでいる。僕もそこは同意しているんです。そして大きいっていうのは荷物やギアがたっぷり積める収納性に結びつく。今乗っているバネオは、荷物が積めるのにコンパクト。最近キャンプにハマっているのでうってつけのクルマなんですよ。
久しぶりに親戚の子に会ったら、ずいぶん大きくなったね! って気持ち(笑)。大人っぽくきれいになったよねって。かつてのAクラスとは違うけれど、時代性やユーザーニーズを汲み取って反映されたデザインだと思います。ファミリーで乗っても使い勝手がよくて安全性に優れていて、でもお父さんがひとりでドライブしたとしてもかっこいい。すごくいい所を狙い、それを見事に実現した設計やデザインだと感じました。
日常の中で何度も使ってみたわけではないから正確なレポートは難しいのですが、日常的な会話を拾い上げる感度の高さには感心しました。きれいにととのえた言葉を発しなくても、まるで友人に気軽に話しかけるような言葉でも反応してくれる技術力のこだわりぶりにメルセデスの矜持が見えますよね。エアコンやブラインド、ラジオやナビといったクルマの居住空間の必要部分をコントロールできるので快適性は申し分ないと思います。クルマと直にコミュニケーションしている気分になれるから、さらに愛着が湧くでしょうね。
もちろんウェルカムです。この時代に生まれたからこそ、旧き良きモデルも、最先端のモデルも選べる自由があるってことです。両方の選択肢があって、それをめいっぱい楽しんだほうがこの時代に生きている意味があると思います。ぼくはどちらも好きですよ。
今回のAクラスももちろん大好きですが、僕の趣味からするとクラシックな初代のAクラスに、最新のテクノロジーを積んでみたら面白そう(笑)。とにかく驚いたのはプライスですよね。正直、想像以上でした! メルセデスファンの裾野が広がるでしょう。若年層のクルマ離れが進んでいる今こそ、エントリーしやすいプライスでクルマの魅力、というかメルセデスの素晴らしさが広まるといいですね。新しいAクラスはその役目を担っていると思います。
大いにあると思います。僕の今のライフスタイルにはバネオがジャストフィットしていますが、ライフスタイルや家族構成が変われば、当然選択肢に浮上するでしょう。旧くても新しくても、メルセデスは本当にいいクルマなんですから。
ハイロック(メディアクリエイター)
アパレルブランド「A BATHING APE®」のグラフィックデザインを経て2011年独立。表現の場を選ばないメディアクリエイターとしてのキャリアをスタート。人気サイト「HIVISION」、ファッション誌での連載をはじめメディア各方面にてグッドデザインアイテム、最新のガジェットを紹介。著書に『I LOVE FND ボクがコレを選ぶ理由』。現在は東京と群馬に拠点を構え、週に3回はラジオの生放送や打ち合わせのため、愛車バネオを駆って行き来している。
www.hi-vision.net
12月20日(木)に開催されたイヤーエンドパーティ「Hi, Beams」。大いに盛り上がった1日の様子をレポートします。
ビームス内でも大のドライブ好きとして知られる敏腕男性プレス&女性ディレクターに聞いた、いますぐ行けるドライブコース。
ヴィンテージやオールドモデル好きな空間・プロダクトデザイナー、二俣公一さんが紐解く、新型Aクラスの機能性とデザイン性について。
鎌倉に住んで10年。ビームスのメンズカジュアル部門のディレクターを務める中田慎介さんが語る、新型Aクラスのある暮らしとは。
P.M.Kenさんと河村康輔さん。両アーティストがAクラスを題材にアートを作ると、いったいどんな作品が生まれるのか。
自身のバンド、ペトロールズの歌とギターを担当し、様々なアーティストのサポートやプロデュース業も行う神出鬼没の音楽家・長岡亮介さんのプレイリストトーク。
新型Aクラスにまつわる10の魅力。
ラジカセから流れてくるMCの声は、いつも一方通行だった。ハガキやFAXを送って、運が良ければこちらのリクエストに応えてくれたけど、基本的にはいつも誰かの好きな曲をジッと聴いているだけ。でも、「MBUX」はちがう。「ハイ、メルセデス」の一声で、音声入力に対応。運転中、プレイリストにあるお気に入りの曲をリクエストすれば、その曲をすぐに流してくれる。もちろん道案内や、空調などの車内環境にもバッチリ対応。ドライブをよりスムーズなものにしてくれる。
優れたデザインには、それに見合うくらいの使える機能が伴っていて欲しい。たとえば家にある椅子。かっこいいのは当たり前で、犬もぐっすり眠っちゃうくらいの快適性が欲しい。新しいAクラスはもちろんその両方を兼ね備えている。ブラックを基調に、アクセントとしてシルバーがあしらわれたインテリアは、クール&ラグジュアリーな装い。シートの座り心地もストレスフリーだし、従来に比べてスペースが広く感じるように設計されているので、快適性も申し分なしなのだ。
コートを颯爽と駆け巡り、貪欲にポイントを獲得したマイケル・ジョーダン。その手にボールが渡れば、誰も彼を止めることができなかった。バスケットボールのコートは決して大きくはない。だからこそ、全力のダッシュと機敏な動きが求めらる。新しいAクラスのエンジンは、より軽量になりながらも排気量を削減し、エンジン騒音も低減。またトランスミッションもシフトの作動が素早く、変速もスムーズ。つまり、ジョーダンに負けじと劣らないスポーティな走りが特徴なのだ。
自動運転技術は人々の安全にも向けられている。高速道路での渋滞の最後列に接近したときや、交差点では歩行者や車両の飛び出しに対して自動でブレーキをかけてくれて、なおかつ回避したあとにクルマが車線内に入るように運転をアシストする機能まである。万が一衝突したときに備えて屈強な設計になっていると同時に、大きな衝突音による耳への負担を減らすシステムも搭載。これらは歩行者や周りのクルマだけじゃなくて、自分自身をも守ってくれるということ。
クルマに乗ってどこへ行こう? 家族と小旅行、あるいは恋人と買い物などなど。クルマがあれば行動範囲が広がるが、いずれにせよ荷物は多くなる。そんなときはファッションにもアウトドアにも通用する、フィッシィシングベストのような万能で高い収納力が必要だ。でも大丈夫。新しいAクラスには、広く改善されたラゲッジルームが存在する。奥行きも幅もプラスされ、なんと29L分の増量に成功し、370L(※欧州参考値)もの容量を誇る。これなら仲間とのゴルフだって安心だ。
幼い頃、夢の中でいつもドライブをしていた。助手席には一緒に眠るぬいぐるみがいて、ラジオをかけたり、空調を調整してくれた。新しいAクラスに搭載された「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」も、そんなドライブの相棒役を務めてくれる。インパネ横のディスプレイは、スイッチやパッドではもちろん、スクリーンに直接タッチして操作することも可能。しかも、ユーザーの行動を学習し、行きたい場所、好みの曲の提案をしてくれる頼れるヤツなのだ。
自動お掃除ロボのルンバの誕生には多くの人々が驚いた。地雷探査機のノウハウを家庭に応用し、文字通り“自走”で掃除してくれる便利なロボ。自走といえば最近ではクルマだってオートマチックなシステムを持ち、ドライブのアシストをしてくれる。しかも、その機能はどんどん向上しているのだ。たとえば車線検知機能では、消えかかった不明瞭な車線も検知してくれたり、高速道路で渋滞にハマった場合は、前走車に合わせて自動で発進してくれる。まったく便利すぎる世の中だ。
暗闇のなかを運転していると、ピカッとリフレクターが光り、そこに何かがあることを知らせてくれる。だけど、新型Aクラスの場合は暗闇じゃなくても(もちろん暗闇でも)センサーでさまざまなものを感知し、ドライバーに知らせてくれる。たとえば道路の標識をフロントガラスに付属されているカメラで読み取って注意を促してくれたり、手ばなし運転を検知するとゆるやかに減速してくれたりなど。でも、くれぐれもセンサーに頼りすぎないように注意したいところだ。
90年代に夢中になって遊んだゲームボーイ。持ち歩けるゲーム機なんて、当時は画期的すぎた。でも、いまはどうだろう? ゲームボーイはもはや“レトロ”に分類され、家でも外でもみんなスマホをいじっている。いろんな技術やテクノロジーが街中にあふれているのだ。スクリーンをタッチしたり対話しながら操作する「MBUX」や、さまざまなオートマチックシステムを搭載した新型Aクラスは、ある意味では最新の装備をまとった新しいガジェットのようなものなのかもしれない。
女の子は美しいラインのデザインに弱い。きっと指輪を欲しがるのもそのせいだ。淀みなく流れるような流麗なデザインは、身につけていても気持ちよさを感じる。だから、Aクラスのエクステリアにもうっとりするにちがいない。風の流れを計算した角のないラインと、品があってスマートなルックス。それにダイナミックさと、どこかスポーティな要素も加わっている。優しさと力強さが調和したデザインには、きっと生粋のクルマ好きですら思わず感嘆の声をあげてしまうだろう。