独自の視点で切り取った日常を歌詞にしてダンスミュージックへと落とし込み、音源のリリースやイベント出演など、精力的な活動を展開している、シンガーのxiangyu(シャンユー)さん。今年で活動開始から4年半経つが、その大半がコロナ禍だったため、思うような動きができなかったそうだ。しかし、彼女はそれも前向きに捉えている。
「3年くらい時が止まっていましたが、熟成期間だったと思うんです。だから今、いろんな人とコミュニケーションを取れるようになって楽しくなってきたし、自分のやりたいことを形にして世に出せるようになってきました。ようやくスタートラインに立つ準備が整ったような感覚ですね。コロナ禍で、ああでもない、こうでもないと試せたのがよかったです」
『風呂に入らず寝ちまった』や『ミラノサンドA』など、多くの人が共感を覚える内容を自らのフィルターを通して楽曲に昇華する。3月にリリースした『かたっぽshoes』は、高速道路に落ちている片足の靴がテーマになっている。
「街の落とし物が好きなんです。全部にときめくわけじゃなく、心にグッとくるものがあって、落とし物になるまでのストーリーを想像するのが楽しい。それをEPにしようと思って、まずこの曲を作りました。5月3日にリリースする曲のテーマにした落とし物は、入れ歯。本当に落ちてますからね(笑)。特殊な落とし物に出会う、引きの強さを持ってると思います。」
彼女の活動は、音楽だけにとどまらない。雑誌で連載していたエッセイが書籍化されたり、ゴミから服をつくるプロジェクトを友人と主宰したり、映画の主演からラジオのレポーターまで、幅広いジャンルを股に掛けている。しかし、そのすべては一貫して、xiangyuさんらしさを感じる活動ぶりだ。
「音楽をメインに活動していますけど、自分のことを音楽家とは思っていないし、すべてを“仕事”として捉えていないんです。“仕事”として向き合うと、自由にやれずに枠にはまってしまうので、自分らしさを失っちゃう気がして。音楽も執筆も服も、それぞれ制作の考え方は違うけど、私のなかでは地続きになってるんです」
アーティストとしてデビューするまで、大手アウトドアブランドに勤めていたxiangyuさん。今も登山を趣味に持ち、キノコ・山菜狩りで山へ籠ることもあるほど本格的に楽しんでいる。つい最近も、残雪の山に登ってきたそうだ。
「登山は1日で爽快感を得られて、分かりやすい達成感があるから好きですね。気が向いた時に行くから、ひとりで登山するほうが多いんです」
そんな彼女が登山で使っているのは、30ℓのザック。背負い心地や耐水性などの機能面を重視したセレクトで、長く愛用中。一方、デイリーユースしているバッグは、大きすぎず小さすぎないサイズ感が選ぶポイントだそう。
「登山のザックは機能性と快適性、あと軽さも大事。普段友達と遊びに行く時は手ぶらなんですけど、仕事は荷物が多いからバッグが欠かせません」
そう話すxiangyuさんは、バッグの中身を披露してくれた。普段持ち歩くものは、楽曲制作で使用するパソコンや思いついたワードを残すメモ帳、移動中に読む本、ステンレスボトルなど。小物をチャック付きポリ袋で仕分けているのも、登山のスタッフバッグを使った収納術を彷彿とさせる。
「ライブで地方へ行く際、バッグを変えるたびにパッキングし直すのがめんどくさいし、すぐに見つけやすいので小分けにしています。このまま入れ替えれば忘れ物がないので安心です」
この日選んだバッグは〈グレゴリー〉の「FINE DAY」。「DAY PACK」を小ぶりにモディファイし、ショルダーハーネスをスリム化した、女性にもフィットするモデルだ。内部にポケットが多数備わり、収納力も申し分ない。ショルダーハーネスがずり落ちないスターナムストラップや、トレッキングポール装着用のストラップなど、登山に適したディテールも搭載されている。カラーリングは〈グレゴリー〉を代表する柄のひとつ、ブルータペストリー。
「このモデルは、本当にちょうどいい容量。いつも持ち歩いているパソコンを入れられるスリーブポケットが備わっているし、たくさん入るのに野暮ったくならないサイズ感が気に入りました。登山に欠かせないスターナムストラップも付いているので、日帰りのトレッキングにもよさそう。ブルータペストリーの柄も好きです。今日も花柄のインナーをレイヤードしているくらい花柄が好きだし、ブルーとパープルはわたしの好きな色。デイリーからアウトドアまで活躍してくれるバッグですね」。
最後に、今年行きたいところを尋ねてみると、自然豊かな場所を挙げてくれた。
「屋久島に行きたいです。今年こそ! って毎年思っているけど、タイミングを逃してまだ行けてなくて。あと、和歌山の熊野古道。前に行ったときに計画が甘くて踏破できなかったので、もう一度挑戦したいです。海外もいいけど、国内にも行きたい場所がたくさんあるから、日本中に足を運びたいと思っています。今年は制作しながらたくさん遊びたい。いまも十分遊んでいますけどね(笑)」
バッグ:GREGORY「FINE DAY(ONLINE STORE)」
Photo_Fumihiko Ikemoto
Edit & Text_Shogo Komatsu
問い合わせ先 グレゴリー/サムソナイト・ジャパン
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