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340km歩く、逃避⾏。

17歳からカメラを⼿に取り、⼤学⽣でフォトグラファーのアシスタントに。そして在学中に独⽴し、いまではウェブメディアやブランドのルックブック、ミュージシャンの撮影を⼿掛けている⼭下直輝さん。今年6⽉にリリースした⾃⾝初となる写真集『Harvest:John Muir Trail』には、2018年にアメリカのジョン・ミューア・トレイルをスルーハイクしたときの様⼦が収められている。⼭の景⾊や出会ったハイカーを写しながら、⾐⾷住を背負って歩いた12⽇間の記録。「まさか⾃分がスルーハイクの写真集を出すなんて思ってもいなかった」。そう話す彼はなぜロングトレイルに挑戦したのか、そこでなにを得たのか。

「東京の⽣活に疲れちゃって。逃げるようにジョン・ミューア・トレイルに⾏ったんですよ。仕事を⼿伝わせてもらっていたフォトグラファーの先輩が⾏ったことがあると聞いていたから、少し⾝近に感じていて。その先輩と何度か、⽇本の⼭を縦⾛テント泊した経験があったので、とりあえずひとりで⾏ってみました」。

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ジョン・ミューア・トレイルは、アメリカ・カリフォルニア州のヨセミテ渓⾕を北限に、本⼟最⾼峰であるマウント・ホイットニーまでの南限を繋ぐ、約340kmの道のり。ハイカーが憧れる、ロングトレイルの聖地だ。そんなジョン・ミューア・トレイルには、⽇本の⼭の縦⾛とはまた違った魅⼒があったという。

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『Harvest:John Muir Trail』に収録された⼀枚。

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山下さんが一緒に歩いた現地のハイカー。

「歩くのが楽しかったです。途中からは現地のハイカーと⾏動をともにして、1⽇中休憩もせず歩いた⽇もありました。⽇本の登⼭は縦に登るけど、アメリカは横に広がっているのが気持ちよかった。あと、湖やトレイルから何メートル離れるみたいなレギュレーションさえ守ればどこでもテントを張れるので⾃由に⾏動できるんです。⽇本だと、⼭⼩屋の決められた場所にテントを張らなきゃいけなくて、そこが⽬的地になってしまう。⾃分でどこまで歩くか決められないんですよね」。

⾃分のなかで区切りをつけることが⼤事。

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⼤⾃然の中に⾝を置いて、重い荷物を背負いながら⻑距離を歩くのは決して楽ではない。写真集には映っていない過酷さもあった。

「3⽇くらい⾬が降り続いて、⼭の厳しさを思い知りました。テントじゃなくてツェルトで寝泊まりしていたんですけど、夜中起きたら、浸⽔していて(笑)。それに先輩に借りたUL(ウルトラライト)のバックパックは、ショルダーハーネスのパットが薄いから肩が痛くなったりもして。早く踏破しようと、頑張ってハイペースで歩きました。最終的にはヨセミテ国⽴公園で⽕事が起きて、中断せざるをえなかった。でも、歩き切れなくてもいいかなと。無理しないで途中で終わってもいい。仕事で⾏っているわけじゃないし、⾃分のなかで区切りをつけることが⼤事だと思ったんです」。

こうしてジョン・ミューア・トレイルから帰国して2年が過ぎ、 世界はコロナ禍に。⼭下さんは暗室にこもる日々を送る中、 手付かずになっていたジョン・ミューア・トレイルの写真を現像したところ、時間が経ったからこその発見があったという。

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「いざ現像してみると、ポートレイトをたくさん撮っていたのが⾃分でも意外でした。ぼくは仕事以外で⼈の写真をあまり撮らないので。良くも悪くも、いまではもう撮れない写真だと思います。写真集にするつもりはなかったんですけど、 三鷹市にある 『ハイカーズデポ』のスタッフさんに⾒せたらいい写真だと⾔ってくれて。今まで作品を発表したことがなかったので、⼀冊にまとめてみようかなと。⼤変だったけど4年経って振り返ってみると、実りある旅だったと思って、タイトルは『Harvest:John Muir Trail』にしました」。

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⽇常ではデザインを重視。

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ロングトレイルで、バックパックの背負い⼼地の⼤切さを⾝に染みて実感した⼭下さん。この⽇選んだ「DAY PACK」は機能性が⾼く、〈グレゴリー〉のフラッグシップと呼べる名作だ。ティアドロップ型のシルエットは男⼥問わず背中にフィットして、モデル名の由来になっている1⽇分の荷物が⼊る26ℓの容量が、アウトドアはもちろんデイリーユースにもちょうどいい。内部にはPCスリーブや⼩物を⼊れられるジッパーつきメッシュポケットの収納が搭載されていて使い勝⼿抜群。しかし⼭下さんは、その利便性以上に⾒た⽬が気に⼊っている。

「毎⽇使っているカメラバッグが⿊だから、⽇常使いのバッグは好きな⾊を選びたい。ベージュやブラウンのアースカラーが好きなんです。〈グレゴリー〉らしい、レザーのジッパープルもアクセントが効いていますよね。どのパーツにも意味があるけど、装飾としてオシャレだと思います。そしてショルダーハーネスがしっかりしている。これなら重い荷物を背負っても肩が痛くなりません。とは⾔え、⽇常の荷物は少ないですけどね」。

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豊富なカラーバリエーションの展開も、「DAY PACK」が定番であるがゆえの魅⼒。毎シーズンリリースされる新⾊は「DAY PACK」を新鮮な表情に彩り、コーディネートの⼀部を担う。アウトドアとファッション、それぞれのシーンでバックパックの重要性を理解している⼭下さんらしいチョイスと⾔える。

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バッグ:GREGORY「DAY PACK」(ONLINE STORE

Photo_Fumihiko Ikemoto
Edit & Text_Shogo Komatsu

問い合わせ先 グレゴリー/サムソナイト・ジャパン
電話: 0800-12-36910(フリーコール)
※月曜日~金曜日の10:00~17:00受付(土日祝日・年末年始は除く)
gregory.jp


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