Q. Obataさんはこの工房でいつも作品の製作をされているんですか?
A. そうですね。すべての過程をこの場所で完結させています。切り出す刃物を研いだり、木材を削り出したり、スケッチを描いたり、彫刻に色を塗ったり。本当に色んな工程があるんですよ。
Q. 作業着みたいなものも決まっているんですか?
A. 今日着てるような普段着も、わりと作業着っぽい雰囲気なんですけど(笑)。作業すると本当に汚れるんです。だから、製作過程によって、作業着の素材も靴も変わっていくっていう感じです。色んな作業工程があるんで。チェーンソーを使うときは安全靴を履いたり。チェーンソーからノミまで、いろんな道具を使いますよ。
Q. 普段の服装はシンプルなものが多いのでしょうか?
A. はい、どうしても黒や白、グレーっていうカラーリングが多くなっちゃいますね。楽しちゃうっていうか。それに、ひとつのアイテムをずっと着ることが多いので、長く着れるアイテムかも服を選ぶ基準になってますね。
Q. 今回の「CLASSIC SACOCHE M」は、どのようなイメージで製作したんですか?
A. 本当は真っ黒にしようと思ったんですけど、それだと流石につまらないなと思って、リフレクターをポイント的に使ったり、裏面にカモ柄があしらったり、一見オールブラックなイメージですけど、実はちょっと違うっていう、ギミックを効かせたデザインにしました。
Q. 今回作って頂いた「CLASSIC SACOCHE M」は、どのようなイメージでデザインを?
A. 普段の自分のワードローブに本当に色がなくて。黒、グレー、ネイビー、あとは白Tとか…。そういう感じばっかりなんで、ちょっと春っぽく、発色のいいカラーリングを意識しました。バッグくらいは差し色としてあってもいいなって思いますし。なので、自分的にはちょっと派手めな、明るい色をチョイスになりました。
Q. 実際に仕上がりをご覧になっていかがですか?
A. グレーの色味とかすごく良いですよね、綺麗で。黄色はもっと強い色で来るかと思ったんですけど、使い勝手の良い、落ち着いた感じで仕上がりましたね。あとは〈グレゴリー〉ならではの安心感みたいなものを感じます。
Q. 普段はどんなバッグを使用されることが多いですか?
A. トートバッグか、こういうアウトドアっぽい素材のカジュアルなものとかが多いですね。最近は車移動が多いので、大きなトートバッグに仕事の道具を入れて、打ち合わせ行ったり、撮影に行ったりって感じです。
Q. サコッシュは使ったりしますか?
A. よく使いますよ。やっぱり便利なんですよね、このサイズ感って。以前から〈グレゴリー〉のサコッシュ的なサイズ感のモデルが気になっていたので、今回の企画は個人的にもベストタイミングでした(笑)
Q. HIGH(er) magazineはいつからスタートしたんですか?
A. zineを作るのは高校生からですね。『HIGH(er) magazine』って名乗りだしたのは、大学一年のときです。最初は5人だったんですけど、今は2人で作っています。原稿もほとんど自分たちで書いてて、外部にお願いするのは写真くらいですね。レイアウトやデザインも自分たちでやっていて。
Q. 何故高校生の時にzineを作り始めたんですか?
A. 高校がドイツだったんですけど、その時に、言葉で伝えられないことがいっぱいあって、それをどうしたらいいのかなって考えたときに、zineを作り始めたんです。
Q. ファッションのこだわりはありますか?
A. 普段は動きやすさを気にしますね。走れる服、走り出せるかどうかっていうのが結構ポイントかもしれません。思い立ったときにすぐ走れないと不安になっちゃうから、そういう格好をしてます。バッグはいつもリュックですね。行動を制限されたくなくて。本当は手ぶらか、サコッシュくらいのサイズのバッグがいいんですけど、仕事の道具が多いので、なかなかそうもいかず…。
Q. 今回の「CLASSIC SACOCHE M」はどのようなイメージで製作されましたか?
A. 昔から黄色が大好きなので、このサコッシュにもどこかに入れたいなと思って。でも黄色って合わせるのが難しいから、あえて裏側にデザインしました。チラッと見えたりすると、テンションが上がる感じがいいですよね!
Q. この「CLASSIC SACOCHE M」は、どのようなテーマでカラーリングを決められたのでしょうか?
A. 実は、エヴァンゲリオンの初号機というキャラクターをイメージしたんです。僕はエヴァンゲリオンにハマらなかった派なんですけど、初号機の色だけは抜群にかっこいいと思っていて。あのカラーリングって、なかなか自分では考えつかないんですよね。完成されたカラーバランスだなってずっと思っていて。今回に限らず、僕はそういうところからコーディネートの色合いを考えることが多くて。アニメのあのキャラの着こなしの色合いがかっこよかったなーとか。
Q. 今回のサコッシュで言えば、表面は黒のモノトーンがベースですが、ジップの引き手が蛍光グリーンで、背面がパープルと、しっかりと元ネタのカラーリングが落とし込まれつつも、ファッション的に見ても秀逸な仕上がりですね。
A. 特に今回は、〈グレゴリー〉のタグが黒しか選べなかったので、フロントのベースには黒をうまく使うのがフィットするなと。でも、真っ黒のものを作ってもしょうがないですし、遊び心やストーリーっていうものを考えたときに、エヴァンゲリオンのカラーリングを落とし込むのが、実際に色を組み合わせたときにしっくりきたんですよね。
Q. 今回のように、何か他の作品からインスパイアを受けて商品のカラーリングを考えることは、珍しいのでしょうか?
A. 僕らにとっては、決して珍しいことではないです。過去のアウトドアブランドの名品のカラーリング、それこそ〈グレゴリー〉もそうなんですけど、カラーパターンを服に落とし込んだりもしますし。そういうのが面白いなって思うんですよね。「ビームス」は感覚だけでやらないで、背景っていうところをちゃんと紐付けてモノづくりをしたいと思っているので。そういうところを僕は大事にしています。
Q. 普段のファッションはどんなスタイルが多いんですか?
A. いつもこんな感じです。今回の「CLASSIC SACOCHE M」も、自分が普段着る服の何にでも合うようなカラーにしました。色の組み合わせを作るのが楽しくて、色々試してみたんですけど、最終的に自分が持つとしたらグレーか黒だなって。かなりいい感じですね。自転車に乗るんで、本当は斜めのところをリフレクターにしようかとも思ったんですけど、まぁモノトーンがいいかなと。こっちの方が合わせやすいかなって。
Q. バッグはどんなタイプをよく使いますか?
A. 自転車に乗るのと、荷物が多いので、リュックがほとんどです。なので、サコッシュを持つのは休みの日ですかね。あと、このサイズ感なら釣りでも使えそう。今度友達とバス釣りに行くんですが、池の陸っぱりで釣りするなら、このサコッシュにいろいろ道具を入れて、釣り竿だけ手に持ってポイントを回れそうだなって。色んなシーンで使えるサイズ感ですね。
Q. なるほど。児玉さんだったら、普段の製作の仕事でも使えそうじゃないですか?
A. たしかにそうですね! 現場のときにビス入れたり、脚立の上で作業するときとか。職人さんは腰袋をガッチリ着けるんですけど、僕らみたいに家具をつくる場合、しゃがむことが多いので、腰袋だと邪魔になったりするんですよ。そういうときに、こういうサコッシュは便利ですね。仕上げの作業のときとか、すごい役立ちそうです。でも、結局釣りのときばっかり使っちゃいそうですけどね(笑)。
Photo_Shin Hamada
Text_Maruro Yamashita
Edit_Jun Nakada