古き良きヴィンテージウェアに着想を得たモノ作りで、国内外問わず人気となっている〈アナクロノーム〉のプレスであり、来シーズンより展開開始する新ブランド〈蒼氓(ソウボウ)〉のディレクターでもある藤田貴久さん。これまでに幾度もヴィンテージアイテムのコレクターとしてメディアに登場している藤田さんが〈グレゴリー〉を知ったきっかけは、90年代半ばに大きな影響力を持っていた雑誌『Boon』だったのだとか。
「僕、岡山に小二から中二までいたんですけど、やっぱり岡山にいる時から雑誌を読んでいて、東京に憧れみたいなのがあったんですよね。当時、雑誌しか情報がない中で、『Boon』に載っていたスナップ、カッコマンとかには大きな影響を受けていて。グレゴリーは、そこで背負ってる人とか使っている人が多かったんですよね。アウトドアのブランドだということは、後々知ったくらいで、最初は『Boon』でよく見るブランドっていう認識でした。バックパックといえばっていう感じでしたね。いまほどバックパックをつくっているブランドもなかったと思うし」
そして、藤田さんが最初に手に入れた〈グレゴリー〉のアイテムが、いまでも愛用しているという青タグの「デイパック(DAY PACK)」。使用されていた期間の短い青タグは、近年マニアの中でも人気となっているそう。
「これを買ったのは中学三年の時なんですけど、通学用のカバンを買えってことでうちのオカンからお小遣いをもらって。地元にアウトドアショップがあって、そこでセールになってて買いました。当時から旧タグとかのことはちょっと気にしていて、ちょうどグレータグに変わった頃だったんですけど、ひとつ前のタグのやつがセールになってる! ということで。高校三年間をずっと共にして。本当にタフだし。ガンガン洗って乾燥機にかけたりしても大丈夫だったし。アメリカブランド的なタフネスを感じますよね。高校のときはストニュー(東京ストリートニュース)が全盛期だったので、皆法政のバッグとか、別の学校の通学カバンを使うのが流行っていたんです。僕も持ってたけど、違うなってことでグレゴリーを使ってましたね」
藤田さん自身が、「アメリカの象徴みたいに感じる」という、使い込んだ〈グレゴリー〉のバックパックは、トレンドを偏重することなく、古着からメゾン系のブランドまで自らのフィルターを通してセレクトする彼のスタイルに非常にハマっている。
「来シーズンから自分が手がけるソウボウは、基本的にシーズンレスでいつでも手に取れるようなお土産物の延長みたいな感じでやりたいんですよね。旬のものとかじゃなくて、モノづくりの方にじゃないけど。そういった意味でも、グレゴリーのモノづくりの姿勢には、改めて感銘を受けますね」
バッグ : グレゴリー (私物)
コート:アルニス(私物)
Tシャツ:ソウボウ(私物)
パンツ:アナクロノーム(私物)
キャップ:ソウボウ(私物)
メガネ:ローレンス ジェンキン(私物)
シューズ:クラークス(私物)
Photo_Yuichi Akagi
Edit & Text_Maruro Yamashita