「今日使っているのは、元々うちでも10年前に展開していた、〈シエラデザイン〉とのコラボレーションによる、アメリカ製の限定DAY PACK(デイパック)です。オレンジとグリーンの2カラーあって、よく売れましたね。僕自身グレゴリーは昔から使ってますし、いくつか持ってました。コンセプト自体が好きなんですよ」
そう語ってくれたのは、関西を中心に絶大的な人気を誇るセレクトショップ「ロフトマン」グループの看板スタッフ、稲葉冬樹さん。現在は「ロフトマン コープ 梅田」の店長兼プレスも務め、関西のファッション業界を現場で支える存在だ。
「グレゴリーの創始者のグレゴリー・ウェイン氏の言葉のなかに、“背負うんじゃなくて着るんだ”という一節があるんですけど、その考えがやっぱりすごく好きなんですよ。バックパックというカルチャーを一貫してずっとやり続けているという在り方も含めて、その意思というか、考え方すらもリスペクトしているブランドですね。だから当然、流行り廃り関係なく、うちの店でもずっとやり続けています。バックパックカルチャーの発祥になってるんじゃないかと思うブランドなんですよね」
単にひとつのプロダクトとしてだけではなく、〈グレゴリー〉というブランドが持つ真髄的な部分に魅了され続けている稲葉さん。そんな彼が初めて手にした〈グレゴリー〉のアイテムは、15年くらい前のこと。古着屋で働く知人がずっと背負っていた姿に憧れ、古着屋で探して購入したという、アメリカ製のピンクの「テイルメイト」だったという。
「当時の大阪では、僕が憧れていたような人たちが皆グレゴリーを使っていて、しかも色々なモデルを、皆がそれぞれの個性で持っていましたね。決して、ひとつのモデルに偏らずに、皆がいろんなモデルを持っていたっていうところが、自分の目に飛び込んで来ました。いまは流れ的に黒とか紺とか、落ち着いた色のワントーンが主流ですけど、雪山行ったら明るくて視認性の良い色じゃないとダメだぞ! じゃないけど、そういう道具みたいな意味合いが強いところが良くて。逆に言うといまよりも実用的っていうか。ファッション的な意味合いだけじゃなくて、実用性を追求した上で、いろんな色を出してるというところに惹かれるし、自分がファッションに夢中になった頃の気持ちを思い出させてくれるブランドです。15年以上洋服業界にいて、そういう昔の気持ちを忘れたらダメだなって改めて思うんですよ。いまってひとつの大きな流れしかないけど、昔っていろんな流れがあったじゃないですか? そういう時代が懐かしいなって思いますし、そういう個性を持てる時代に変えて行きたいなって思ってます」
バッグ : グレゴリー × シェラデザイン(私物)
ジャケット:ササフラス(私物)
シャツ:古着(私物)
パンツ:古着(私物)
バングル:ジェイムス・フォックス(私物)
メガネ:KDC(私物)
シューズ:シュナイダーブーツ(私物)
Photo_Yuichi Akagi
Edit & Text_Maruro Yamashita