服屋巡りがルーティーンワーク。

トレードマークは金髪。ビンテージやアンティークに造詣が深く、古着に対する人並み以上の愛を持って、20年以上にわたりスタイリストとして活躍し続ける原田さん。その独特なアウトフィットはもはや彼ならではのスタイルとして業界内では皆が知るところ。大好きな古着屋さんを歩きまわってみつけてきた物や作り上げたスタイルを、スタイリストという仕事に落とし込んでいる姿は、見ていてなるほどと腑に落ちる。そんな原田さんと仕事とバッグの関係について。

「洋服に興味を持つようになったのは、地元の京都に住んでいるとき。小学生の高学年くらいからでしょうか。当時はインポートのお店が多かったこともあって、とにかくアメカジっぽいものが好きでしたね。それから中学生になると物欲に拍車がかかり、京都はもちろんですが、たくさんのお店を回りたいがために、週末になると大阪や神戸まで通っていました。それこそ、今日の部活が昼までだから急いで帰れば大阪に行けるな、みたいな感じで（笑）。上京してからも、京都に帰ると2、3日は大阪、神戸の服屋巡りの日程を組んで帰省するほど。とにかく店を回るのが好きなんですよ」

スタイリストという職業は、もちろんスタイリングがすべて。ただ、一見華やかそうに見えて、実はその背景には、常にアンテナを張り巡らせて情報をインプットする、地道なリサーチが欠かせない。そういう意味では、青春時代を服屋巡りに費やした原田さんにとって、スタイリストになることはごく自然な流れだったのかもしれない。

「東京に越してきてから、たまたまとあるタレントさんに可愛がってもらって、その人の坊やになりました。いわゆる”付き人”ですね。坊やをしながらその合間にインポートの洋服屋でバイトもして。それがちょうど90年代の中頃。まわりに古着好きな友だちがたくさんいたこともあって、その頃から本格的に古着を覚えはじめました。で、あるとき付いていたタレントさんに頼まれて衣装を用意することになって。幸いにもブランドから古着まで、周りにたくさんのアパレル関係の友だちがいたので、難なく揃えることができました。それから少しずつスタイリストのような仕事が増え始めて、あれよあれよという間に、今に至ります。もう20年以上になりますか……長いですね（笑）」

かっこいい着こなし、スタイルを知ってもらいたい。

この日も、原田さんはリサーチがてら、渋谷マークシティのほど近く、飲み屋街の雑居ビルにお店を構える「SUPER LOVE MARKET」を訪れた。店主の安井さんは古い付き合い。たわいもない話から、気づけば古着の話が延々止まらない。原田さんと言えばやっぱり古着のイメージ。彼が思う古着の魅力とは。

「新品でも同じだと思うのですが、お店に行ったとき、新しい物をみつけて、それがいいなって思ったときに物欲って生まれると思うんです。なので、それを取り扱うお店側も、来る人に新しい物を知ってもらえるよう仕掛けないといけない。ビジュアルもそうだし、その物が持つ生い立ちのようなストーリーもそう。純粋にそれを知った人がさらに興味を持ってくれるのが嬉しいんですよ。スタイリストも同じで、かっこいい着こなし、スタイルを知ってもらいたいんです。だから、常に新しいものを探しています。そう思っているからお店に行くのが楽しいんです」

フイナム読者のイメージ像を挙げるなら、比較的新しいものが好きで、それを友達にかっこよく紹介したくて、できるとすっごく嬉しいけれど、友達に先を越されたりしてできないとすっごく悔しい人。つまり、原田さんはその一歩先を行く人だ。

「日本の古着の人たちは世界的に見てもレベルは一番だと思います。本当に洋服が好きなお客さんたちって、お店の信念や面白い物を追求していく姿をちゃんと見ているはず。流行だけを追いかけていたら続かないわけで。僕も仕事柄、1週間で100軒、200軒とお店を見てまわることがあります。それだけ、お店でたくさんのことを学ばせてもらっていますし、古着屋さんがあるおかげでずっと古着が好きでいられるんです」

他とかぶらない柄が好き。

この日選んだバッグ「GOLF TOTE BAG」は、今シーズンから本格展開されるゴルフカテゴリーの製品となり、32Lという大容量でトート型というのが特徴。手提げも肩から掛けることもできる持ち手付きで、グレゴリーのアイコンでもあるレザージッパープル、裏地を貼って補強したボトム部、バラツキがちなアイテムの収納に便利なジッパー付きポケット、オーガナイザーポケット、ウォーターボトルの収納に便利なボトルスリーブと、見た目とは裏腹に使い勝手のいいディテールが満載。

「仕事柄、荷物は多い方かもしれないですね。撮影の際に常備しているものは、スチーマー、ノート、ペン類、付け替え用のタグ、予備のシューズやソックス、小物類といったところ。常に出し入れがあるのと、どこに何があるのか見てすぐに分かるので、トートバッグがいいんです。このGOLF TOTE BAGは、個人的にベストなサイズ感でかなり重宝しそう。昔からグレゴリーの柄モノシリーズが好きで、このガーデンタペストリー柄も気に入ってます。何より周りとかぶらなそうなのがいいですよね（笑）」

原田さんにとってのバッグ選びは、あくまで仕事がベースで、なおかつ“普通”にならないこと。単色を選ばないあたりも彼ならではのセレクトと言えるだろう。服はもちろん、バッグもファッションの一部。それが彼のスタイルに繋がっている。

「自転車編」はこちらから！

バッグ：GREGORY「GOLF TOTE BAG」（ONLINE STORE）

■撮影協力
SUPER LOVE MARKET
住所：東京都渋谷区道玄坂1-6-3 山路ビル3F
www.instagram.com/super_love_market/