Excellent Maker. SPECIAL03 モリタニシュウゴ

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エクセレントメーカー特別篇の3人目は、ニューバランスのグローバルビジネスユニット ライフスタイルスタジオというデザインチーム内にてマネージャーを務めるモリタニシュウゴ氏にスポットを当てます。ニューバランスの新しいデザインを企画したり、スニーカーに限らずアパレルなどの企画などにも参画し、新たなニューバランスを築き上げていく存在であり、ジャパンだけにとどまらず、グローバルにも精通していく彼に、いろいろと訊いていきます。

--まずは、ニューバランスというブランドを初めて意識したのは、いつ頃ですか?

モリタニシュウゴ(以下モリタニ/敬称略): 入社したのが約2年半前なのですが、それ以前はあまりニューバランスというブランドを意識してはいませんでした。

--そんなモリタニさんが、ニューバランスに入ろうと思ったきっかけは何だったんですか?

モリタニ: もともとデザイナーズブランドでデザインを手掛けていたんですが、自分の身にもっと近い物を作りたいなと思いまして。 そして、スポーツブランドで、機能的で快適な商品を作りたいと考えたときに、ニューバランスの物作りに対する考え方が自分に近いなと思い、あらためてニューバランスというブ ランドを意識した感じです。そんなとき、偶然家から古いニューバランスのスニーカーが出てきまして、恐らく高校生くらいの時に履いていたコートモデルなん ですが、なぜ買ったのかはまったく覚えてないんです...。

--自身にとってスニーカーの捉え方は、どんな感じなのですか?

モリタニ: 小中学校の頃、親の仕事の関係でアメリカに住んでいまして、その頃に普段履きとしてリーボックのテニスシューズをずっと履いて いたんですが、スニーカーのムーブメントを追いかけたりというのはなかったですね。中学時代に流行っていたガンズアンドローゼスのアクセル・ローズを意識 してファッションに興味を持ち出し、高校生時代に流行っていたジャックパーセルを履いたりはしましたけど。洋服の方により興味があったので、その中のひとつのアイテムとしてスニーカーを考えていたくらいです。

--意外ですね。ちなみに、デザイナーを志すきっかけは何だったんですか?

モリタニ: 最初はスタイリストになりたかったんですが、当時はなり方がよく分からなくて...、気がつくとなぜかデザイナーを目指ていました。高校を卒業して武蔵野美術大学のファッション科に入学し、卒業後はヨウジヤマモトのパタンナー職に就きました。当時はまだY-3が始動する前で、アディダスとのコラボでスニーカーをリリースしたりしていましたね。その頃からウェアはスポーツ寄りのものに目が向くようになっていました。

--その後の展開としては?

モリタニ: ヨウジヤマモトを辞めて、セントマーティンズ(カレッジ・オブ・アート&デザイン)に留学し、帰ってきてからイッセイミヤケに入社します。

--なぜ、留学しようと思ったんですか?

モリタニ: ヨーロッパのファッションデザインを勉強したかったからです。当時はもっとファッションデザインの視野をひろげたいと考えていました。それで、帰国後はデザイナーとして8〜9年くらい働きました。

--そこから、ニューバランスに転身する一番大きなきっかけは何だったんですか?

モリタニ: デザイナーブランドで服を作ることに限界を感じてきていまして、先にも述べましたが、もっと実生活に近い物を作りたかったんです。

--ニューバランスに入社して手掛けてみたいことは、ありましたか?

モリタニ: シューズだけに限らず、ウェアも含めてトータルでデザインをしてみたかったですね。

--実際に入社してみて、何か変化はありました?

モリタニ: ニューバランスの履きやすさを、あらためて知りました。今までにはない感覚に気づいたという感動がありましたね。

仕事の面ではデザイナーズの頃とはプロセスもスケジュールも異なりますし、開発から商品化までのタームが長いっていうのに慣れるのが大変でしたね。あと、スニーカーには品質基準など制約が多く、その中にエッセンスを詰め込んでいかなくてはいけないのも、今まで作っていた服とは異なりました。ただ、より良い商品をお客様に届けるというのは変わらないので、今までの経験を活かしている感じですかね。

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--そんな中で印象に残ったモデルが、こちらのハイカットモデルMH998なわけですが、なぜですか?

モリタニ: 単純に、入社して間もなく手掛けたモデルで、約2年という歳月をかけて、いまやっと店頭に並んでいるので、一番思い出が詰め込まれていますね。アッパーはオーセンティックな996をベースにしており、そこにパフォーマンスシューズで採用されている最新テクノロジーのフレッシュフォーム(FRESH FOAM)というソールを融合させる ハイブリッドなモデルだったので、それぞれの良さを活かしつつ、バランスをアジャストしていくのは相当に苦労しました。普通、サンプルは3回くらい作 れば完成するんですが、これは6回くらい作りまして...。まさかそんなに難しいとは思っていなかったので、あらためて奥の深さを痛感しました ね。以前は576とか、996とか意外と簡単に出来上がってるなんて思ってましたが、それぞれデザインが洗練されて完成しているんだなということを、まざまざと実感しました。。

--そんな経験を経て、スニーカーを見る感覚は変わりましたか?

モリタニ: ずいぶん変わりましたね。履く機会も増えましたし、店頭で他のブランドなどを見る機会も格段に増えました。そして、よりニューバランスを好きになりましたね。

--ニューバランスで思い描く未来は、どんな方向ですか?

モリタニ: ライフスタイルスタジオでは、新しいデザイン・企画の提案ですね、MH988のようなハイブリッドモデルはニューバランスのパフォーマンスモデルのテクノロジー(機能性)をより多くのお客様に実感していただきたいですし、CRT300のようなコートモデルにも積極的にチャレンジしていきたい。クラシックランニングだけでなく、モデルのバリエーションを拡げたり、スニーカーのムーブメントをリードしていけるような存在になっていければいいなと。また将来的には、シューズだけに限らず、アパレルなど幅広いラ インナップも出来れば良いと考えています。これは、もちろん日本でなく、世界にも広げていきたいです。

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スタイリング
シューズ:〈ニューバランス M998〉
スウェット:〈SUNSPEL〉
シャツ:〈MARGARET HOWELL〉
パンツ:〈ATO〉

Shugo Moritani
モリタニシュウゴ

Lifestyle STUDIO Manager
ライフスタイルスタジオ マネージャー

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