PEOPLE

ヘインズ好きが語る、偏愛っぷりとその魅力。

VOL.02 平野太呂 / 写真家、「NO.12 GALLERY」オーナー
写真家として作品制作のみならず、代々木のギャラリー「NO.12 GALLERY」のオーナーとして顔も持つ平野太呂。常に自らの視点で美しいと思うものを切り取り、キュレーションする彼にとって、Tシャツの名門〈ヘインズ〉の新たな取組み「ジャパンフィット」はどのように映るのか。平野太呂が語るTシャツのあるべき姿、そして「ジャパンフィット」の可能性。
Photo_Shin Hamada
Text_Hiroshi Yamamoto

理想通りのサイジング。このサイズピッチの狭さも魅力。

ーそもそも写真家として、Tシャツを選ぶ際に気を付けていることはありますか?

平野:スタジオマンは黒を着ることが多いですよね。光を反射しないように。ただ、僕の場合はほとんど気にしないかな。基本的にコットンであれば、というくらい。あまり機能性に富んだTシャツが好きじゃないんですよね。

ー写真家って意外に体力仕事だったりするじゃないですか。

平野:そうなんですけどね。僕の場合は普段から動きやすい格好で現場に入るので、それ以上の機能は求めていないんですよ。

ー実際、今はどのくらいTシャツをストックされているのでしょうか?

平野:僕は結構、処分していくタイプ。ストックしておいても黄ばんだりしちゃいますからね。だから着古したら捨てて、買い換える。もちろん、なかには捨てられない物もありますが。

ーそれはどういった物ですか?

平野:友達のバンドの物だったり、思い入れの深いスケートブランドだったり。そのくらいですよ。あってもぎりぎり90年代の物くらいだと思います。

ーTシャツをファッションアイテムとして意識するキッカケを教えてください。

平野:中学の頃、春休みを使ってカリフォルニアに行ったんですよ。徹(WTAPSの西山徹)の計画に便乗して。当時はスケートボードに熱中していたので、これは行くしかないだろうと。もちろんそれまでもTシャツを着て、スケートしていたんですけど、アメリカに行ったことで無地Tの概念がまったく変わってしまったんです。

スケートボードってグラフィックのカルチャーでもあるじゃないですか。好きなデッキのグラフィックがTシャツになって、それを着ているライダーに憧れて、同じ物を着ていたり。ただ、カリフォルニアに行ったことで無地Tの魅力に気付いたんです。

それまでは無地のTシャツといえばオッサンの肌着だと思っていたんですけど、向こうではみんな普通に着ていたし、それが格好良く見えた。で、どうやら〈ヘインズ〉というブランドらしい、と。それで、少ないお小遣い握りしめて買いに行ったんですよ。休み明けの始業式には、みんなでお揃いの白Tを着て登校したら、すごく寒かったのを憶えています(笑)。

Tシャツ:Hanes T-SHIRTS Japan Fit クルーネック

ー当時、アメリカでヘインズを見たときは、ブランドとしてどんな印象を受けましたか?

平野:パッケージからしてアメリカっぽいなと。『E.T.』に『スタンド・バイ・ミー』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で育った僕らの世代にとって、そういったアメリカらしさに自然と憧れを持っていたんですよ。だからこそ実際に無地の白Tで過ごしているカリフォルニアの人々に魅了されてしまった。

ー以来、ヘインズは愛用されてきましたか?

平野:そうですね。いくつかTシャツのブランドはあったんですけど、最もアイコニックだったのがヘインズでしたからね。以来、青パックを愛用していました。

ー青パックの理由を教えてください。

平野:赤も青も両方試したんですけど、青の方がしっくりきたんですよね。コットンをベースにポリが少し配合されているので、クタリ具合が自分好みだったんです。あとは強度ですね。

ー強度?

平野:当時は母親が洗濯していたので、肩を容赦なく洗濯ばさみで摘まんでしまうじゃないですか。コットン100%の赤パックだと、どうしてもその跡が強く付いてしまう。それが嫌で青パックを選んでいました。

ー本日着ていただいた「ジャパンフィット」に関してはいかがでしたか?

平野:さっき開けて着たばかりなのに、新品という感じがしないんですよね。肌触りがなめらかというか、少しふわっとしている印象を受けます。

ーサイズに関してはXLを選んでいただきました。

平野:着丈、袖丈も短くて、身頃も細いので、骨太の僕であればXLサイズでも違和感がありませんね。

ーサイズピッチも狭いので、サイズごとに異なるスタイルを楽しむこともできます。

平野:スケートブランドだとLでは小さくて、XLだと大き過ぎることがよくあるんですよ。1枚で着るには、その中間くらいが理想。「ジャパンフィット」のXLは、まさに理想通りのサイジングだと思います。

ーパッケージも従来のパックTとは異なります。

平野:海外受けが良さそうですよね。というのも、アメリカだと赤・青のパッケージの印象がとにかく強いじゃないですか。だからこそ、意表を突いた縦型のパッケージは新鮮に映るんじゃないですかね。日本土産としても使えると思います。最近の海外のスケーターであれば、絶妙なサイズ感も気に入ってくれそうですし。

ーちなみに平野さんが写真家として、この「ジャパンフィット」のプロモーションを任されたとしたら、どうされますか?

平野:せっかくなら大勢で着たいですよね。たとえば年一度、みんなで街中をスケートするイベント『Go Skateboarding Day』の日に、参加者みんなで着てもらったりして。そこをドキュメントで追いかけて、同時に動画も回したりして。映像とスチール、そしてスケート、あらゆる角度から〈ヘインズ〉、「ジャパンフィット」の魅力を伝えてみたいですね。

ARCHIVES

PROFILE

平野太呂
Taro Hirano

1973年、東京出身。写真家、「NO.12 GALLERY」オーナー。写真家として雑誌、広告に加え、スケートボード専門誌のフォトエディターを務めるなど、ストリートカルチャーへの造詣の深さで知られる。代表先な作品に『POOL』(リトルモア)や『ばらばら』(リトルモア/星野源と共著)、『東京の仕事場』(マガジンハウス)がある。
tarohirano.com
no12gallery.com

Tシャツ:Hanes T-SHIRTS Japan Fit クルーネック(身長:175cm / XL)
シャツ:J.Crew
パンツ:Levi’s®
シューズ:VANS