- FEATURE
今シーズンより本格始動した「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance(トーキョーデザインスタジオ ニューバランス)」(以下TDS)。かの〈ニューバランス〉が打ち出す新機軸のライフスタイルラインとして話題をさらっているTDSが、次なる展開を発表しました。それが、“UTILITY”と“SPORTS“をキーワードにモノづくりをしている人気ブランド〈ナナミカ〉とのコラボレーションです。その全貌をひも解くべく、両レーベルのキーマンでもあるTDSのクリエイティブデザインマネージャー・モリタニシュウゴ氏とナナミカのゼネラルマネージャー・野村剛司氏による対談インタビューを行いました。
(左)モリタニシュウゴ
トーキョーデザインスタジオ/クリエイティブ デザイン マネジャー
(右)野村剛司
ナナミカ/ゼネラルマネージャー
今回、TDSと〈ナナミカ〉とのコラボレーションによるカプセルコレクションを発表しましたが、まずはその経緯からお聞かせください。
野村もう4、5年前になるんですが、〈ニューバランス〉と一緒に何か企画をやりたいと思い、アプローチをしたのが始まりですね。たださまざまな事情により、なかなか具現化できませんでした。それでも〈ナナミカ〉としては、約20名のウチの社員全員愛用している〈ニューバランス〉とモノづくりがしたい、〈ナナミカ〉の代表作・ステンカラーコートに採用しているゴアテックス®ファブリクスを〈ニューバランス〉のスニーカーにも搭載したいという思いはずっと抱いてました。そんな折、〈ニューバランス〉のライフスタイルレーベルであるTDSが、独立したレーベルとして本格展開をはじめるということで、〈ナナミカ〉にとって念願のコラボレーションが実現したというワケです。
モリタニそうですね。僕がそういった話をお聞きしたのは2、3年くらい前で、現実的にはその辺りから動き出した感じなんですが、水面下ではもっと前からいろいろな動きがあったようです(笑)。〈ナナミカ〉のブランドコンセプトと合致するのは、〈ニューバランス〉の中でもライフスタイルに特化した僕たちが手がけるTDSだ、ということでコラボレーション企画が始まりました。
確かに〈ナナミカ〉は、フィールドで必要とされる機能的な素材などをいち早くタウンユースへと取り込み、ファッションとファンクションを融合させた先駆者的なブランドとして広く認知されています。TDSも〈ニューバランス〉の最新テクノロジーをライフスタイルへ落とし込むレーベルである、というそれぞれのブランド背景や打ち出しも相似的に感じます。
モリタニそうですね。はじめ僕自身は、〈ナナミカ〉はアウトドアのイメージが強かったのですが、一緒にお仕事を進めていく中で、アウトドアではなく、機能性を追求しているブランドであることが分かってきました。それでいてパフォーマンスに寄り過ぎない部分にも共感が持てましたし、東京デザインスタジオとも共通するところが多いなと感じました。
野村テクノロジーをファッションに落とし込むという意味ではそうかもしれません。〈ニューバランス〉の中でのTDSの立ち位置と「ゴールドウイン」の中での〈ナナミカ〉の立ち位置も、かなり近いものがありますね。
今回は単にコラボモデルのリリースというだけでなく、シューズとアパレルを展開するカプセルコレクションとして発表されました。ここにも両ブランドの強い思い入れや意気込みを感じます。
モリタニもちろんスタートは先ほど野村さんが仰られた通り、ゴアテックス®ファブリクスを搭載したスニーカーでしたが、TDSはシューズだけなくアパレルも含めたトータルでライフスタイルを提案するブランドですので、今回のコラボレーションでもウェアを手がけました。
野村やはり両者の強みを活かすという意味からもシューズ&アパレルの幅広いコレクションになったと思います。もちろん〈ニューバランス〉は独自にアパレルをやっていますが、スニーカーの存在は絶対ですし、〈ナナミカ〉も前述したステンカラーコートをはじめとするアパレルで評価をいただいていると自負しています。そういったところも踏まえてこのようなカプセルコレクションになりました。
そしてこの「ゴアテックス® スニーカー」が完成したワケですね?
野村当初は、僕ら〈ナナミカ〉のスタッフにファンが多い「1300」に代表されるクラシックなスニーカーに、ゴアテックス®ファブリクスを搭載してみたいという考えもあったのですが、それ以上に新たなモデルに搭載する方が〈ナナミカ〉らしい。見ためはクラシカルだけど中身や機能は最新テクノロジー。そのハイブリッドこそが〈ナナミカ〉のカラーだと思い、このモデルが完成しました。
モリタニ今回は「R_C1」に搭載したんですが、これも元々は〈ニューバランス〉を代表する歴史的名品の「1300」シリーズからインスパイアされたモデルです。なので、TDSとしても、この「ゴアテックス® スニーカー」への思いは〈ナナミカ〉とまったく一緒ですね。
アパレルでは、同じくゴアテックス®ファブリクスで仕上げた〈ナナミカ〉の名作・クルーザージャケットを筆頭に、クールマックス®を採用したロゴT&ロゴスウェットがリリースされます。
モリタニアパレルの企画に関しては、基本的にそのプロでもある〈ナナミカ〉にお任せしました。
野村はい。まずアウターとして〈ナナミカ〉の定番アイテムであるクルーザージャケットをデザインベースにナイロン素材の3層ゴアテックス®ファブリクスで仕上げたジャケットをつくりました。コットンのモデルよりも軽量化されていることがポイントで、伝統的なアウトドアのディテールはそのままに、時代性を意識してややリラックスしたシルエットにモディファイしています。
野村カットソーに関しては、伝統的なNBロゴを配しながら、吸水速乾性に優れたクールマックス素材でTシャツとスウェットをつくりましたね。
このロゴは衝撃ですね。かつてこのようにNBロゴがアレンジされたことはあったのですか?
モリタニいや、おそらくないと思います。初めてではないでしょうか。正直、初めて〈ナナミカ〉から提案された時は、これは…って(笑)。
野村〈ニューバランス〉のアーカイブブックで、工場のスタッフが着用していたユニフォームからインスパイアされてデザインしたのですが、NBと〈ナナミカ〉の文字を掛け合わせた限定ロゴです。正直、お客様がどのように感じてもらえるかは未知数ですが、作り手でもある僕たちは感動しましたね。ある意味では、この限定ロゴが、クラシックとテクノロジーの融合を謡う両ブランドの象徴になってもらえると嬉しいです。
最後に今後の展開をお聞かせください。
野村まだどのような反響をいただけるか分かりませんので、現時点では何とも言えませんが、個人的には、定期的に継続していきたいプロジェクトです。
モリタニ色々な意見や感想を聞いてみたいです。そして、今後も新しいフットウェアやアパレルを提案していきたいと思います。