Rookies Appeared. New Balance X-90と6人の若手スタイリスト。 Vol.03 庄 将司 & 高橋正典

- FEATURE

先日デビューしたばかりの〈ニューバランス(New Balance)〉の新モデル「X-90」。「99Xシリーズ」の各モデルのデザインを散りばめ、まったく新しいものとして誕生したブランドのルーキーだ。このニューモデルを6人の若手スタイリストのもとへ送り、1ヶ月という時間を過ごしてもらった。日々生活をするなかで彼らが感じた「X-90」への所感とは? 全3週に渡って、6名の声をお届けする。3回目に登場するのは、庄 将司さんと高橋正典さん。彼らの着こなしにもぜひ注目を。

  • Photo_Fumihiko Ikemoto
  • Text_Yuichiro Tsuji

Case_05 庄 将司|いままでのモデルよりもハイテクなムードがある。

師匠である甲斐弘之さんから独立されて1年ちょっと。いまはどんな気持ちですか?

ようやく自分のペースが見えてきたという感じです。独立したてのときは、不安な気持ちも多かったんです。まだまだ実力不足な感じがしたし、自分で大丈夫かな? と。でも、ずっと師匠のことを信じながらやってきて、いまはなんとなく吹っ切れた感覚もあります。

アシスタント時代、甲斐さんからどんなことを学びましたか?

うちの師匠は本当にいろんな雑誌をやってたんですよ。ハイエンドなものからストリートに至るまで幅広い提案を行なっていて、仕事量もとにかく多かったんです。それにも関わらず、仕上がりはすごくかっこいい。カメラマンにあれこれ指示をしなくても、阿吽の呼吸でいい画をつくっちゃうんです。そういったセンスにすごく憧れたし、自分もそうなりたいなと。

なるほど。

あとは人柄もすごくよかったですね。ぼくが仕事でミスして怒られることがあっても、頭ごなしに怒るんじゃなくて、なにが悪かったのかを反省するような怒り方をするというか。自分のなかにある考えを引っ張り出して考えさせるような話の仕方をしてくれるんです。だからすごく人としても成長できたような気がします。

ファッションも人生も、両方学ぶことができたということですね。話は変わりますが、庄さんは普段どんなシューズをよく履きますか?

ミドルカット、もしくはハイカットのシューズが好きです。これは理屈ではなく、単純に見た目が好きなのと、あとは足元にボリュームが出るところも理由のひとつです。スニーカーはいつもパッと見て気に入ったらすぐに買っちゃう癖があって(笑)。気づいたら高さのある靴ばかりでした。

履き心地よりもデザイン重視であると。

完全にデザイン重視ですね。だからこれまで履き心地とか機能は気にしたことがなかったんですけど、今回「X-90」の履きやすさはさすがだなと。めちゃくちゃ軽くて履き心地がいいし、全然疲れないですね。

これまでに〈ニューバランス〉のスニーカーは?

むかし「530」を履いていました。ソールは“ENCAP”で、それも軽かったんですけど、「X-90」は軽さに加えてクッション性も優れている感じ。今回ひさしぶりに履いて「ニューバランスいいな」って思いましたね。

デザインに関してはいかがでしょうか?

すごくいいですね。実はこれまでに何度も990シリーズを買おうと思ったことがあったんです。でも、どこか自分っぽくないなぁと諦めてた部分があるんですけど、「X-90」はすごくハイテクでスタイリッシュじゃないですか。「N」のマークが小ぶりなところとか、シュータンと履き口が一体化しているところもいまっぽいデザインですし。あと、このソールのデザインも特徴的ですよね。

1ヶ月間試していただきましたが、どんな格好に合わせることが多かったですか?

今日みたいなデニムに合わせることが多かったです。淡い色で、シルエットはややルーズに。トップスはブラックにして、それこそスティーブ・ジョブズの色合わせ(笑)。あとはちょっときれい目な着こなしをすることもありましたね。白シャツに、ちょっと太めなネイビーのスラックスを合わせたりとか。

「X-90」を使ってスタイリングページを作るとしたら、庄さんはどんなコーディネートを組みますか?

直球かもしれないですけど、いまだったらダッドスニーカーとしてこれを提案したいです。野暮ったく、本当におじさんっぽいスタイリングにすると思います。

ダッドスニーカーを上手に履きこなす方法はあるのでしょうか? 若い人はともかく、年齢を重ねた人がそう合わせると、リアルな“ダッド”になってしまうような気がするんです。

どこか引き締めるポイントをつくるのが大切だと思います。例えば、足元にこのスニーカーを合わせるなら、他はどれもキレイ目なアイテムで統一するとか。

ダッド的要素はひとつだけにして、他はすべて引き締めるということですね。

そうですね。デニムじゃなくてスラックスにするとか、シャツも素材感を気にして、オックスフォードじゃなくてブロード地のものを選ぶとか。そういうバランスの取り方をすれば、年齢を重ねた人でも上手に履きこなせると思います。ぜひチャレンジしてほしいですね。

Case_06 高橋正典|スリッポンのような構造をしていてフィット感がいい。

高橋さんがスタイリストになろうと思ったのはどうしてなんですか?

高橋学生時代にファッション誌の編集部でバイトをしていて、そこでスタイリストさんの仕事を見て、学校を卒業するタイミングでスタイリストになろうと思いました。まずはバイトしながらお金を貯めて、その後に師匠である壽村太一のアシスタントになりました。

どうして壽村太一さんにつこうと思ったんですか?

高橋ぼくは雑誌の仕事をしたかったんですが、当時師匠はいろんな雑誌で活躍していたんです。カジュアル、モード、そしてドレスも手がけていて、すごいなぁって。それで履歴書を送って、晴れてアシスタントにつくことになりました。

アシスタント時代、どんなことを学びましたか?

高橋ほぼ毎日撮影があったし、とにかく仕事がハードでした。それにも関わらず、師匠は優しくしてくれたんです。それはぼくだけじゃなくて、関わるすべての人に対してなんです。

忙しいとイライラしてしまいがちですが、そうではなかったと。

高橋とにかく人との接し方が柔らかくて、場が和むし、物事がポジティブな方向に進むんです。そういう姿勢はすごく勉強になりました。あとはリースしたいアイテムに対して、ストイックなところもすごいと思いましたね。

たとえば、どういうことがあったんでしょう?

高橋撮影の前日に、ある特定のアイテムが使いたいとなった場合、なんとかしてそれを借りてこようと奔走するんです。もしかしたら効率の悪いことなのかもしれないですが、そういうストイックな部分がヴィジュアルにもいい影響を与えると思うんです。どんな些細なことでも妥協をしないところは、やっぱり勉強になりました。

高橋さん自身はどんなファッションに影響を受けてきましたか?

高橋ベースにあるのはストリートカルチャーです。それこそ学生時代は裏原ブランドが好きでしたし、それから海外のストリートブランドも好きになりました。スタイリストアシスタントになってからは、コレクションブランドにも興味を持ち始めて、いまはそれをミックスして着ていますね。

最近だと足元はどんなシューズを履くことが多いですか?

高橋ハイテク系が好きです。

スニーカーにはどんなことを求めますか?

高橋履いてて疲れないというのは大事です。だからハイテク系のスニーカーが好きなのかもしれません。仕事柄、よく歩くし、ロケで撮影していると急に走ったりする場面も少なくないので。〈ニューバランス〉だと「1400」と「990」を履いていました。でも、「X-90」のほうが履きやすいですね。

どこがちがいますか?

高橋甲の部分のホールドが「X-90」のほうが、ちゃんとくっついている感覚があるというか、足と靴が一体化している感じがします。よく見ると、「X-90」はスリッポンのような構造しているんですよ。だからいいのかなと。足をスッと入れられるところも、1ヶ月試しながら魅力的だなと感じました。家からコンビニへ行くときも便利でしたし(笑)。

デザインで気になるところはありましたか?

高橋いちばん惹かれたのはソールですね。高さがあってすごい特徴的ですよね。ぼくは「990」のデザインが好きなんですけど、「X-90」はそれよりもシャープで都会的な印象です。すごく洗練されていると思います。

今日のコーディネートについてどんなことを意識したか教えてください。

高橋90年代を意識しました。2XLのTシャツに太めのチノでルーズに。タックインは最近の自分のマイブームなんです(笑)。自分らしさと今っぽさをそれで表現してますね。

「X-90」をモデルに履かせてスタイリングを組むとしたら、高橋さんはどんなコーディネートにしますか?

高橋グレーのワイドなスラックスを合わせたいです。丈はワンクッションくらいですこし重ために。コーディネートは全体的にきれい目にしつつ、あえて「X-90」を履かせてハズすような着こなしです。

今日の高橋さんのコーディネートとは対照的な着こなしですね。

高橋そうかもしれません。自分自身、スラックスに合わせて履いていましたし。この靴は万能型ですよね。スニーカーのなかでも上品なアイテムなので、キレイ目でもカジュアルでもどっちでもいけると思います。