- FEATURE
〈ニューバランス(NEW BALANCE)〉を代表する1足として、人種や性別、世代を越えて多くのひとのライフスタイルを支える「996」。このモデルが誕生から35周年を迎えました。そのアニバーサリーを祝うべく、去る11月8日に、各界からたくさんの人々が恵比寿の「BLUE NOTE PLACE」に集結。「996」をドレスコードとしたコーディネートで身を包み、この日のために用意されたスペシャルディナーやトークイベント、ライブパフォーマンスを楽しみました。今回はそんな一夜のダイジェストと、来場者のスナップをお届け。クラシックでありながら、常に新しさも感じさせてくれる「996」の魅力に迫ります。
ここは恵比寿にある「BLUE NOTE PLACE」。ニューヨークにある名門ジャズ・
今回の主役である「996」が生まれたのは1988年のこと。“1000点中990点の性能”というキャッチコピーでおなじみの「990」の後継モデルとして誕生し、高いクッション性を誇る「C-CAP」と安定性を確保する「ENCAP」構造を採用。多くのランナーから支持を獲得しました。
そうしたテクノロジーを礎に、現在ではさまざまなカラーバリエーションと豊富な素材づかいで、ランナーのみならず、さまざまなひとたちのライフスタイルをサポートする1足として欠かすことのできない存在になりました。
「BLUE NOTE PLACE」の通路には、「996」の現行モデルがズラリと並び、その佇まいからは国籍や性別、年齢を越えて愛される理由をまじまじと実感させられます。
こちらにあるのは、そんな「996」を、年齢も職種もバラバラな日本のクリエイターたちが履いたポートレイトの数々。スタイリスト、モデル、エッセイスト、写真家、バイヤー、エディター、ラッパー、フローリスト、ダンサーなどなど、35周年にちなんだ35組の写真とコメントは、こちらから確認できるので、ぜひチェックを。
会場内の展示をぐるりと見渡し終わった頃、ちょうどパーティがスタートしました。ステージに登場したのはニューバランスジャパンの代表取締役社長である久保田伸一さん。開会の挨拶と共に、こんなことを話していたのが印象的でした。
「今年で35周年を迎えた『996』は、
現状に満足することなく常に更新を続ける姿勢。それはいまも継続して行われています。続いて登場したのはマーケティング・ディレクターの鈴木健さん。アップデートを繰り返す「996」の最新モデルとしてスクリーンに映し出されたのは、世界初公開された『996』の“Made in Japan”モデル。
そのモデルがこちら。名だたるアスリートのパフォーマンスシューズをつくり、〈ニューバランス〉とグローバルパートナーシップを締結している「M.Lab(ミムラボ)」で製作。革の裁断から、縫製、木型に合わせて革を吊り込む作業、ソールとアッパーの接着まで、すべての工程が手作業で行われている特別な1足です。
アッパーには国産の起毛感のあるピッグスキンスエードを使用し、柔らかさと美しさを両立。さらにライニングには「COOLMAX®」を採用し、快適さがキープされます。丁寧な作業によって生まれる珠玉のアイテムは、〈ニューバランス〉の公式オンラインストア限定で12月1日(金)に発売予定です。
会場ではこの日のために用意された特別な料理がサーブされるなか、ステージにはエッセイストの松浦弥太郎さん、モデル・女優として活躍する三戸なつめさん、そして編集者の小澤匡行さんが登場。「996」にまつわるトークショーがスタートします。
みなさんには「996」を履いていただき、35周年の特設サイトにてポートレイトの撮影に参加いただきました。撮影はいかがでしたか?
松浦たくさんのクリエイターの方々がいらっしゃって、世代も異なるさまざまなひとに「996」はフィットしているし、愛されているなぁと思います。本当にどんなスタイルにも合うんだなと、撮影のときに実感しました。〈ニューバランス〉を愛するひとたちは不思議と共通点を感じるというか、リラックスしたような空気感が漂っていて素敵ですよね。
三戸撮影中に他の方のインタビューを聞いていたんですけど、みなさんの生活に寄り添っているブランドなんだなっていうのを実感しました。
小澤いろんな世代の方たちが、いろんな履き方をしているのが印象的でしたよね。
改めて、それぞれのご視点で「996」の魅力はどんなところにあると思うか教えてほしいです。
松浦35年前にぼくはニューヨークへ行って、とあるスポーツシューズのお店に入ったんです。お店の一角に〈ニューバランス〉のシューズがすごく大切に扱われていて、マニアックでこだわりのあるひとに向けたアイテムとして展示されていたんです。それにすごく憧れましたね。
当時は「996」が出るか出ないかくらいの頃だったと思うんですが、店員さんの〈ニューバランス〉の推し方がすごく印象的でした。歩きやすくてフィットしているし、ほとんどハンドメイドに近いつくられ方をしていると話してくれて、それがそのままぼくにとっての〈ニューバランス〉のイメージになりました。
松浦「996」の魅力はそうした手作りの感覚がアップデートされた現在でもどこかに残っていて。靴紐をしっかりと締めると、「996」の履き心地が2倍3倍になるっていうことに気がつきました。それによって本当にカラダの一部になったような、そんな感覚がありますね。履いているとすごく誇らしげになります。
小澤ここにいらっしゃるみなさんも「996」はクラシックなモデルというイメージがあると思うんです。たしかに昔からあるシューズではあるんですけど、履き心地が古いと感じることはないと思うんですね。それが〈ニューバランス〉の魅力のひとつ。ハイテクなシューズも履き心地はいいですが、それとは違う新しい快適さをずっとキープしているブランドだなと感じます。
小澤あとはいろんなスタイルにマッチするスニーカーだなってずっと思っています。ぼくより上の世代は渋カジなどのスタイルに合わせたりしていて。ぼく自身は90年代半ばに青春を過ごして、ヒップホップ・スタイルの新しい足元として、レザーの「576」や「996」を東海岸のラッパーたちが履いていることを先輩たちから教えてもらったりしたんです。
2000年代に入ってこの仕事をするようになってからは、スーツやドレスカジュアルの足元に合わせる方々に会ったりして。ぼくもいろんな切り口でその魅力について原稿を書いたり、編集をしたりするなかで、本当にいろんな履き方と愛され方があるんだなというのを実感しました。それが「996」のいちばんの特徴かなと思います。
三戸20代の頃にモデルとしていろんな〈ニューバランス〉のアイテムを履かせてもらったんですけど、なかなか「996」が履けなかったんですよ。それはすごく大人っぽいモデルで、自分にとってはまだ憧れが強かったからなんです。上質で丁寧な暮らしをしているひとが履くものっていうイメージで(笑)。
三戸いまはこうやって履かせてもらって、ようやく自分が追いついてきたっていう感覚があって、すごく嬉しいんです。
松浦ぼくもまだまだ憧れがありますよ(笑)。自分が本当に似合っているのかどうか、まだわからないというか。でも、ちょっと頑張って履いてみようって思うんです。いつか似合う自分になりたいっていう気持ちは、いまでもありますね。履くことによって自分に自信がつくというか、いい意味ですこし背伸びができる不思議なパワーを感じます。〈ニューバランス〉っていうブランド名もすごいですよね。“新しいバランス”って深いなぁと思って。いつまでも特別な存在であり、憧れであり、自分を変えてくれる靴なんですよね。
松浦さん、三戸さん、小澤さんの3名によるトークが終わると、マイクとピアノ、ベース、そしてドラムセットのみがステージに残されました。カトラリーとお皿の音や、来場者の話し声で会場が包まれるなか、35周年コンテンツにも参加したエクスペリメンタル・ソウルバンド・WONKが登場。彼らのライブがここからスタートします。
ピアノのイントロから演奏はスタートし、そこにベースとドラムの音が静かに重なっていくWONKのパフォーマンス。名門ジャズ・クラブのステージにふさわしいムードをゆっくりと築き上げていきます。
美しいピアノの旋律と、タイトなドラムのリズム、そして暖かくて優しいベースラインにソウルフルなボーカルが混ざり合い、唯一無二の音を紡ぎ出すWONK。まるでひとの心を表現するかのような、喜怒哀楽を感じさせる演奏に来場者は釘付けになります。
約45分の演奏の締めは、ダリル・ホール&ジョン・オーツによる名曲「I Can’t Go For That (No Can Do)」のカバーを披露。メロウな曲をWONK流に調理し、演奏技術の高さ、表現力の幅広さ、そして音楽に対する愛の深さを感じさせてくれました。
多くのひとに愛される「996」ですが、この夜集まった来場者たちの足元もこのシューズがサポートしていました。ということで、最後にスナップをお届け。世代も職種もバラバラな3名のスタイルをご覧ください。
普段は美容師として活躍する長江さん。お仕事中も〈ニューバランス〉は履きますか?
長江美容師は立ち仕事だし、動きやすさが求められる仕事なので、すごく重宝してますね。履きやすいスニーカーって〈ニューバランス〉以外にもたくさんあると思うんですが、このブランドはちょっと特別というか。デザインもカッコいいし、自分自身のスタイルにもすごくフィットするところが気に入っています。
ブランドに対してはどんな印象を抱いていますか?
長江ファッションの玄人たちに愛されるブランドなのかなって。いろんなスタイルを通過して、何周もしてきたひとたちがみんな履いてる、みたいな。そういう大人なイメージがありますね。
今日は黒い「996」を履かれていますね。
長江いままではカラフルな服を着ることが多かったんですけど、最近は黒で統一することが多くて。シューズもそれに合わせて黒にしています。
コーディネートのポイントも知りたいです。
長江会場が「BLUE NOTE PLACE」だったので、ジャケットを合わせて普段とは違う装いにしたところですね。だけど「996」に合わせやすいカジュアルさもだしたかったので、シルエットで遊びを取り入れたのもポイントです。
若木さんはいつも〈ニューバランス〉を履いている印象があります。
若木昔、雑誌の取材で坂本龍一さんを撮ることになって、それがたしか〈ニューバランス〉のタイアップだったんです。もともと憧れのあるブランドなんだけど、どれを履いていいのかわからなくて。その際、はじめて展示会にお邪魔してオススメのモデルを聞き、撮影が終わってからも、自分で新しい一足を買いに行った記憶がありますね。
それ以来ずっとこのブランドを履き続けているんですね。
若木フォトグラファーってたくさん歩く仕事だから、やっぱり履いていると全然違うんですよ。疲れないというか。
いまでこそおしゃれな靴として〈ニューバランス〉は認知されていますが、日本に入ってきた頃は知る人ぞ知るシューズブランドだったんですよね。
若木80年代にブランドを紹介する記事があって、アメリカ製やイギリス製のアイテムが掲載されていました。他のスポーツブランドとは全然方向性が違くて、当時はランニングブームじゃなかったし、あんまり目が向かなかったんですよ。でも、90年代に入ってブームに火がついてようやく注目されるようになって。さらには教授も履いているということで、インテリジェンスな靴なんだなっていう印象になったんですよ。
「996」は若木さんにとってどんなシューズですか?
若木いわゆるなランニングシューズっていう感じですね。お酒でたとえるならウィスキーみたいな。いまは色んな要素が混ざったカクテルみたいなスニーカーが多いけど、「996」はすごくオーセンティックなんですよ。ずっと残っているから。そこが好きですね。
最後にこれから〈ニューバランス〉に期待することを教えてください。
若木変わらずにいまのスタイルを貫いてほしいです。もちろん新しものは生み出しながらも、「996」のようにオーセンティックなものも変わらずにつくり続けて欲しいなって思います。
〈ニューバランス〉との出合いを教えてください。
志村もともとは競技者としてランニングをしていたんですが、そのときにアップ用のシューズとして〈ニューバランス〉のランシューを愛用してました。
ブランドに対してどんなイメージがありますか?
志村ライフスタイル寄りのイメージが強かったんですけど、競技用のシューズもたくさん展開していて、私服だけじゃなくてランニングをするときも愛用していますね。競技用のアイテムをライフスタイルのシューズだと思って普段履いていたこともあるんです(笑)。それくらいスタイリッシュで。実際に履いてみると、やっぱり履き心地がすごくいい。フィット感がいいし、クッション性もいいし、スピードも出て、しっかりと研究してつくられていることを実感しましたね。
「996」への印象は?
志村幅広い年代の方が履きやすいシューズだなって思います。私がこのシューズを履いているのを見て、母が「私もこれを履きたい」って言ってたんですよ。あとは足元を迷ったときに履きたくなるシューズで、安心感のあるアイテムだなと感じます。
今回はパープルの「996」を合わせていますが、スタイリングのポイントを教えてください。
志村どんなスタイルにも合うシューズなので、カラーは私の好きなパープルを選びました。トップスとキャップも薄いパープルで統一感を出してますね。素材使いでスポーティにコーディネートしたところもポイントです。