CULTURER. NEWBOLD 2015 Autumn Winter

デザイナー、ラフ・ゴッドフリーの頭の中。

2015.10.09 FRIDAY

秋も深まり、長袖のアイテムが手放せなくなってきた今日この頃。今シーズンリリースされた〈R.NEWBOLD〉のアイテムを、すでに手に取っている人も多いはず。今回のコレクションは、どんなインスピレーションをもとにデザインされたのか? その理解を深めるべく、ブランドのデザイナーであるラフ・ゴッドリー氏にインタビューを敢行。ブランドへの想いや、クリエーションに関すること、そして彼の素顔に迫った。

Photo_Shin Hamada
Text_Yuichiro Tsuji
Cooperation_Kei Benger
Edit_Jun Nakada

エネルギーがみなぎっていて、やりたいことがたくさんある。

ーラフさんはどういった経緯で、〈R.ニューボールド〉のデザイナーになったんですか?

もともとロンドンのセントラル・セントマーチンズ大学でメンズウェア・デザインのコースを専攻していました。在学中に〈ポール・スミス〉でインターンのようなものを経験して、そのまま入社し、現在に至ります。

ーやはり〈ポール・スミス〉というブランドには特別な想いがあるのですか?

そうですね。〈ポール・スミス〉は上品で高級感がありながらも、ラグジュアリーになりすぎず、多くの人に愛されるもの作りを行なっている。そういった価値観に共感します。コレクションにおいても、ひと目みただけでは見過ごしてしまいそうな、ほんの些細な部分にまでデザインの手が加えられていて、そういったひとつひとつのディテールに対するこだわりにも魅了されます。

ーそのような〈ポール・スミス〉のクリエーションは、〈R.ニューボールド〉のコレクションにも反映されているのでしょうか?

もちろん。〈ポール・スミス〉には、長い歴史の中で培ってきた価値観や、技術、そしてプライドがある。そのDNAを〈R.ニューボールド〉らしく転換しながら、デザインを行なっています。

ーただ単に伝統を踏襲するだけでは面白味に欠ける。そこにオリジナリティ加えて、〈R.ニューボールド〉のアイデンティティを確立させるわけですね。

やりすぎない程度にデザインに捻りを加えるようにしています。一見すると慣れ親しんだアイテムでも、生地を変るだけで印象が変わるように、いい意味でみんなの期待を裏切りたい。〈R.ニューボールド〉では、そういったデザインを心掛けています。

ーラフさんは今年で25歳と聞きましたが、その若さで〈R.ニューボールド〉という大きなブランドを背負うことにプレッシャーは感じませんか?

逆に若いからできるのかもしれません。いまはエネルギーがみなぎっていて、不安を感じるよりも、”あれをやってみたい、これもやってみたい”という衝動的な気持ちの方が大きいんです。

80、90年代のスケートシーンはエネルギーに満ちていた。

ー今年の秋冬のコレクションは“スケート”が題材になっています。

ロンドンのスケートやZINEなどのカルチャーにスポットを当てています。僕自身、スケートシーンの中に身を置いていたということもあり、いつか題材にしたいと思っていて。ようやく今回それを形にすることができました。

ーご自身でもスケートをやられていたんですね。

学生時代はスケートに明け暮れていました。でも一度怪我をして以来、離れてしまったんです。たまに散歩をしているとスケートパークの前を通ったりして、当時の情熱が沸々と湧いてきて”もう一度やりたい”という気持ちになります(笑)。今回はその情熱をコレクションへぶつけました。

ー具体的にどんなことからデザインの作業をスタートさせていったんですか?

ロンドンのスケートシーンの歴史を辿ることから始めました。そこで行き着いたのが80年代や90年代、スケート全盛の時代です。現在もストリートシーンに根付いている“DIY精神”は、当時から受け継がれたもの。スケートは盛んだし、それに関するZINEも多く発行されていて、そこに掲載されていた写真などの資料は、エネルギーに満ち溢れていました。

ーそういった当時の資料を参考にしながら、インスピレーションを膨らませていったと。

はい、特に印象的だったのは『R・A・D MAGAZINE』というものです。イギリスを代表するスケートのZINEなのですが、写真をコラージュしたり、ネオンカラーのような蛍光色を多用したりして、アートワークがとにかく秀逸で。それを見ていると、インスピレーションが泉のように湧いてきましたね。

ー今回のコレクションの中で、個人的に気に入っているアイテムなどはありますか?

デニムのオーバーオールですね。当時このアイテムが流行っていたようで、これを着ているスケーターの写真がたくさんあったんです。このアイテムを現代的に蘇らせたらどうなるだろう? と、あれこれ試行錯誤するのが楽しかった。その分、思い入れがあります。

ーそれを使って着こなしをするとしたら?

そこにグラフィックが際立つスエットを合わせて、ちょっとエッジを効かせるのが気分です。

ーお客さまにはどのように楽しんで欲しいですか?

スケートカルチャーというのは、自由で衝動的な文化だと思うんです。だからコレクションの中で気になるアイテムをピックアップして、自分のワードローブの中のものと好きなように合わせてもらえれば、おのずと自分らしいストリートスタイルができあがると思います。

ロンドンは新しいムーブメントが生まれる予感で満ちている。

ーZINEのカルチャーはいまでも盛んですか?

盛り上がっているというよりは、すでに文化として定着していると言えます。どこのブックストアへ行っても必ずZINEのコーナーが設けてあって、各々が発信したいことを自由に発表できるスペースが確保されている。そこでは誰も考えつかないようなニッチなテーマを取り上げられていて、とてもユニークで面白いですよ。

ーストリートシーンはどうでしょう?

ZINEと同じくホットです。いまのロンドンは、さまざまなカルチャーがクロスオーバーして面白いことがたくさん起こっています。ストリートファッションがハイファッションに影響を与えたり、またその逆も然り。どちらのシーンもオリジナリティを保ちつつ、その一方で面白いものがあれば拒むことなくどんどん取り入れようとしているんです。

ースポット的にはどんなところが?

ベックナム、ダルウィッチなど、ロンドンの南のエリアですね。その辺りはギャラリーが多く、ストリートシーンが盛んです。常に新しいムーブメントが生まれる予感で満ちていますよ。

ー東京に来て刺激を受けることはありますか?

もちろん! この街は刺激で溢れています。特に古着屋にはよく行きます。東京にはいいヴィンテージアイテムがたくさん揃っているからね。

ー東京のストリートを歩いていて、どんなことを感じますか?

ロンドンと同じように、東京でも何か新しいムーブメントが起こる予感を感じます。街を歩いている人々のファッションは新鮮だし、ショップには有名無名ありとあらゆるブランドのアイテムが置かれている。東京の人はそれを上手にミックスして、オリジナルの着こなしを確立している人が多いですよね。そういったスタイルにとても刺激を受けるんです。その刺激をロンドンへ持ち帰って、これからのクリエーションにも活かしていけたら、と思っています。なので、今後の〈R.ニューボールド〉にも期待してください。必ずいいものをつくるので。

ポール・スミス リミテッド
電話:03-3486-1500
www.rnewbold.com