990の歴史は知れば知るほどおもしろい。v5の発売を記念して開催された、ニューバランス1日限りのイベント。

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“1000点満点で990点” と謳われた〈ニューバランス(New Balance)〉が誇る最高傑作「990」。先月にはさらに研究と開発が重ねられた最新モデル「990v5」がリリースされました。

実は、その発売を記念して「990」の歴史や哲学、エピソードを集約した「990ミュージアム」という1日限りのイベントが開かれていたのです。

場所は九段下にある「旧山口萬吉邸(kudan house)」。歴史的な価値が国に認められ、2018年5月には「登録有形文化財」として、文化財登録原簿に登録された立派な建築物。アーチ、スタッコ壁、スパニッシュ瓦などの西洋の様式と、日本的な要素が高次元で交わったこの極めて立派な館で5代目「990」の発売が祝われました。

館内には「990」の歴代モデルの実物や、過去の広告が一挙に展示され、邸宅を一周すると「990」にまつわるすべてのことがわかる仕組みに。バイオリンとチェロのユニットが音楽でお出迎えをし、昔ながらのフィルムカメラで記念写真を撮影してもらえるなど、静謐な雰囲気の中で過ごすひとときは特別なものとなりました。

1ドル=約280円だった時代に約100ドルというかなり高額な価格設定で発売された初代「990」。小売業者から「クレイジーだ」と驚かれたモデルで、価格としてはかなりの冒険だったけど、理想のフィッティングと優れたクッションをもつランニングシューズとして評価が高まり、高級感のあるシューズとして一躍人気モデルの仲間入りを果たしました。

愛用している著名人に、スティーブ・ジョブズらがいるのはあまりにも有名な話。バラク・オバマ氏やビル・クリントン氏など、歴代のアメリカ大統領とブランドの関係は蜜月であり、この影響から弁護士や医師などの職種の方達からも信頼されています。日本では坂本龍一さんが愛用していることで知られています。

そんなクリーンなイメージの一方で、ワシントンD.C、ボルチモア界隈のドラッグ・ディーラーたちが、非常に高額かつ快適だからという理由で 「990」を愛用していたという意外な歴史も。その人気はすぐさまダークサイドヒーローに憧れるゲットーのキッズやラッパーたちにも飛び火。ニューヨークやフィラデルフィアへと拡散され、いまではアメリカを代表するヒップホップ集団「ASAP MOB」のメンバーの足元にも「990」シリーズが選ばれています。

そんなアメリカ大統領からドラッグディラーまでが愛用した「990」シリーズの歴史を簡単にプレイバックしてみましょう。

990v1 1982発売

時間や費用を惜しまず、最新の技術で最高のランニングシューズを作ることを目的に1978年の春、「990」の商品開発に取り組み始めました。4年間にわたり研究とデザイン開発を重ね、1982年、初代「990」が誕生。販売当時100ドル(当時1ドル=約280円)という高額なランニングシューズはランニング業界に衝撃を与え、市場に一石を投じたシューズとなりました。

990v2 1998発売

1980年代から90年代にかけて、900番台のシューズは極めて重要な時代を走り抜けました。その中でオリジナルのデビューから16年の歳月を経て、1998年に登場したモデルが「990v2」です。サドルとつま先にまたがった補強パーツを大型化させたことによって安定性が向上。デザインは以前の900番台のビジュアルや初代「990」を抜本的に変える新しい試みとなっており、以降に登場する900番台のモ デルに反映される新フォーマットを確立しました。

991 2001年発売

900番台の進化に伴い、それまでのネーミングの慣習が変更され、「990」から「995」の間の品番が名付けられました。そのモデルが2001年に登場した 「991」です。前モデル「990v2」では、優れた衝撃吸収性と反発性を高次元で兼ね備えたABZORBがヒール部分のみ採用されていたのに対し、「991」では前足部まで進出し、クッション性と安定性が高まりました。最先端機能がひと目でわかるようにABZORBを可視化させたのも特徴です。

992 2006年発売

100周年を迎えた2006年に登場したのが「992」。ABZORB Stability Insockを搭載し、ミッドソールとアウトソールのさらなる進化により、足あたりとフィット性が向上しました。100周年を記念した限定発売されたモデルの「992」も登場。アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブス氏が愛用していたモデルとしても知られています。

993 2008年発売

「993」は、数字で順番にネーミングする命名構造(991, 992, 993)を採用した最後となるモデルです。「993」は、「991」と「992」の機能やデザイン要素を組み合わせ、さらに新しいクッショニングテクノロジー、ABZORB DTSを採用することでより優れた安定性とサポート性を実現しました。

990v3 2012年発売

「990」のオリジナル誕生から30年が経ち、「990v3」へと進化しました。通気性を高めるためにアッパーの一部にパンチングを施し、ピッグスウェードとの間にはメッシュ部分を増やしました。アーチ部分にはグラファイトスタビリティウェブを採用し、ねじれ防止と軽量化に成功。それまでのプロダクトと比べて「990v3」は、より実用的な見た目、タンの独特なダイヤモンドパターン、リブ付きのNロゴが採用されました。

990v4 2016年発売

「990v3」の発売から4年後、最新テクノロジーを搭載することによってソールユニットを再設計した「990v4」が登場しました。PUとACTIVA LITEによるENCAP構造を採用し、サポート性、クッション性が向上。見た目も前作に比べ、よりスマートにスポーツティーに進化しています。細くなったNマークは速さを表現するとともに、Nマーク、トウ、ヒール箇所には360度再帰反射素材を配置し、視認性を高めました。

登録有形文化財として時を超え続ける「旧山口萬吉邸」を舞台に表現された「990」シリーズの普遍性。ダッドシューズの流行の元祖とも言われているシューズですが、歴史を振り返ってみるとやはり “本物” である威厳がそこにはありました。手の届きやすい価格とは言えませんが、それでも手に入れたい。「990」はそんな逸品であるということを再認識したイベントでした。


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