Interview with CHRIS DAVIS about philosophy of new balance

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さてさて、ボストン取材の第2弾は...、ニューバランスの現会長であるジム・デービスのご子息であり、ライフスタイルカテゴリーのストラテジック・ビジネス・ユニット・マネージャー(Strategic Business Unit Manager)を担うクリス・デービス(CHRIS DAVIS)氏にインタビューを敢行! 今回リリースされたM990v4についてに加え、ニューバランスの思想などについても訊いてきました。

--まずは、ニューバランスにおけるポジションを教えていただけますか?

クリス・デービス: ライフスタイルカテゴリーのビジネスマネージャーで、全世界のライフスタイル部門のビジネスを統括しています。クラシックから、トーキョーデザインスタジオ発のニューモデル、それからスケートボーディングカテゴリーのニューバランス ヌメリック(new balance numeric)までトータルでカバーしています。

--正能さんやモリタニさんの上司にあたるわけですか?

クリス・デービス: そうですね。正能さんには絶大な信頼を置いていて、カラーや素材などを変えたいときは彼に意見を聞いています。

--それでは、まず今回リリースされたM990v4について聞かせてください。

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クリス・デービス: M990というモデルをアップデートさせるのは、自分たちにとってもプレッシャーがあり、かなり気を使う作業です。M990っていうのは、ニューバランスにとってアイコニックなシューズで、かつてファッションのシーンに進出できるきっかけになったモデルです。M990をリリースするときは必ずオーセンティックな要素は残さないといけないと思っているので、マラソンができるくらいのパフォーマンスはありつつ、ジーンズなどファッションアイテムともマッチできないといけないと考えています。機能美を備えていなくてはいけないわけです。M990v4は、より速さを求め、さらにプレミアム感を損なうことないよう、モダン・クラフトマンシップということを意識しました。ニューバランスにとって、M1300とか1400は本当のクラフトマンシップですが、M990v4はモダン・クラフトマンシップを掲げ、ファスター(速さ)、プレミアム(高級感)、ファンクショナル ビューティ(機能美)を追求しています。

--今回、M990v4の"N"マークが細く変化しているのは、なぜですか?

クリス・デービス: パフォーマンス的な視点から考えて、"N"マークを細くすることで、速く見えるように仕上げています。今までの990を見て貰うと分かりますが、新しいモデルになるにつれ、より速く見えるようにと進化を遂げています。

--他にもハイブリッドなモデルをリリースしている中で、990だけオリジナルの進化を遂げている理由を教えてください?

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クリス・デービス: 私は、M990シリーズこそが最初のハイブリッドシューズだと思っています。なぜなら、走れますし、グレーですし、時代に合わせてアップデートさせたハイブリッドのルーツだと考えるからです。ハイブリッドなモデルを作っている理由は、今までニューバランスはヘリテージのイメージやパフォーマンスのイメージが強かったところをミックスさせることで、多くのシューズを世に送り出していきたいんです。オーセンティックさを大切にしながら、フレッシュさをキープすることも大事で、常に新しい見え方を作っていくことを心掛けています。

--990のポジショニングは、ライフスタイルのカテゴリーではないんですか?

クリス・デービス: ライフスタイルとパフォーマンスの両方に属していると考えています。

--ちなみに、M2040は?

クリス・デービス: 両方です。その2モデルはカテゴリーに分けるではなく、カンパニーシューズ(会社を代表するシューズ)と捉えています。

--今、アメリカで人気があるのは、どんなモデルなんですか?

クリス・デービス: M997ですね。2年前くらいまではM998に人気がありましたが、今ファッション業界人やスニーカーヘッズはM997を履いていますね。アメリカのニューバランスのファンたちは「900 UP(900アップ)」と呼んで、900番台以上を履いていて、それがプレミアムかつスタイリッシュだと考えているようです。

--そんな中、クリスさんが最もお気に入りのモデルは何ですか?

クリス・デービス: CRT300です。

--それは、なぜですか?

クリス・デービス: CRT300はコートスタイルのスニーカーで今までニューバランスが手掛けてきたものとは少し趣が変わります。ただ、他のコートスタイルのスニーカーとは全く異なり、パフォーマンス的な要素を欠くことなくニューバランスのDNAもきちんと織り込まれていますし、クリーンでどんなスタイルにも合うからです。そうそう、それからトーキョーデザインスタジオが手掛けたML2016も気に入っていて、グレーとブラウンを履いています。

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--ニューバランスがグレーやネービー、バーガンディのスニーカーを多くリリースする理由は何ですか?

クリス・デービス: 街を走ったりする上で汚れにくいからですね。1970~80年代は明るくて派手なスニーカーがトレンドだったんですが、ニューバランスは他の誰かがやっていないグレーやネービー、バーガンディのスニーカーをリリースし、走れるし、街でも履けるスタイリッシュなスニーカー作りを心掛けてきました。

--あと、次のフラッグシップモデルはいつ頃リリースされる予定ですか?

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クリス・デービス: ノーコメントでお願いします。MADE IN U.S.A.のモデルをリリースする上でつねにリスクを取るように考えています。リスクを取らずに過去のオーセンティシティにこだわるだけだと、進化していないように思われてしまいます。守りに入らないように気をつけています。だから、みんなが、「えーっ」て驚くくらいリスクを取っているんです。そうやって次に進化してきました。新しいモデルが、将来のクラシックシューズになると考えいるんです。今までもそうだったように。

--現在M1500などMADE IN ENGLANDでリリースされているモデルがありますが、今後MADE IN U.S.A.で復刻する可能性はあったりしますか?

クリス・デービス: 今は、どのモデルかは言えませんが、様々なモデルをMADE IN U.S.A.で復刻する計画はあります。それと、特別に教えてますが、2017年には新しいナンバーの2モデルがMADE IN U.S.A.としてリリースされる予定です。

--ニューバンスが目指す直近の未来と、先の未来を教えていただけますか?

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クリス・デービス: ニューバランスは、つねにベストを目指していて、ビッゲスト(大きくなること)を目指しているわけではありません。お金を生み出すことを第一義とはせず、学校や病院など、ローカルの方々に貢献を欠かすことなく、つねに正しいことを目指しています。そして、つねにスニーカーにおけるプレミアムブランドというポジションを目指していて、業界における進化の分野におけるリーダーとクオリティにおけるリーダーを目指し、ナンバー1ランニングカンパニーでありつつ、ライフスタイルのプレミアムシューズブランドでありたいと考えています。

--ありがとうございました。

Photo:Koki Sato
Text:Ryutaro Yanaka


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