- 2016.01.08
- NEWS
Interview with Shugo Moritani about ML2016.
2016年に110周年を迎えるニューバランスが、新たなプレミアムモデル「ML2016」をリリースすることを決定。この「ML2016」は東京がコンセプトで、TOKYO DESIGN STUDIOが手掛けるとのことで、マネージャーを務めるモリタニシュウゴ氏にインタビューを決行してきました。スタート時のコンセプトや開発秘話、制作時の苦労などをたっぷり聴いてきました!
--「2016」が誕生する経緯について聞かせていただけますか?
モリタニシュウゴ(以下モリタニ/敬称略): 一番最初は、ニューバランスにはMADE IN USAとMADE IN ENGLAND、一方でMADE IN ASIAというのが存在し、その中で最高のMade in Asiaを作ろうというのが元々の始まりです。
--それはグローバル全体での発想ですか?
モリタニ: グローバルチームのアイデアですね。MADE IN USAとMADE IN ENGLANDはお陰様で調子が良いので、それに続くアジア発の最高峰モデルというのをライフスタイルで作っていこうという考えですね。
--そこから、どういう風に形作っていくのですか?
モリタニ: とはいえ、コンセプトがはっきり決まっていたわけではなかったんです。そして、このアイデアとは別にレザーシューズっぽいスニーカーをニューバランスからリリースさせたいというアイデアもあったんです。そのふたつを融合させて、アジアメイドでプレミアムなスニーカーなんですが、MADE IN USAやMADE IN ENGLANDには存在しないカラーリングや機能など新しい価値を備えたモデルを作ろうと話が進んでいくことになります。
--どんなモデルを作ろうと考えていたんですか?
モリタニ: いろいろなアイデアを揉んだ結果、内側はテクニカルな、機能性を重視させ、2015年に誕生させた「リエンジニアード」のトップクラスというか、それを超えていくモデルという位置付けで、最初は「NB MADE」というコンセプトでスタートしました。これはMADE IN USAやMADE IN ENGLANDではなく、ニューバランスが持っている技術を集結させて作り上げたという意味でした。
--それが最終的に「ML2016」になっていくプロセスを教えてください。
モリタニ: 「ML2016」っていうモデル名が付くのは最後の最後なんですが、110周年である2016年と、ハイエンドである2000番台、あとは1年に1モデルずつリリースしていきたいという思いを込めて、サンプルを作成するとともにネームも決めていきました。
--最終の「ML2016」は、最初に思い描いたモデルと相違ない感じですか?
モリタニ: デザインのディテールは結構変わっていますね。
--ちなみに、最初はどんな雰囲気だったんですか?
モリタニ: 一見プレミアムなレザーシューズだけど、内側にはテクノロジーを含んでいるというコンセプトは変わっていないんですが、使うレザーの雰囲気やスムースレザーなのかスエードなのか? とか、ラインの使い方、"N"マークの扱いなどで変更がありました。
--デザインのモチーフとなるソースのようなものはあったんですか?
モリタニ: 「1600」をベースにインスピレーションしています。ミッドソールも「1600」のものを使っています。
--「1600」のミッドソールを選んだ理由は?
モリタニ: ミッドソールも一番機能的ですし、全体的なデザインコンセプトとのマッチングも良さそうだったから選びました。
--モリタニさん的なこだわりの部分って、どこですか?
モリタニ: "N"マークの扱いですかね。揉めてはいませんが、グローバルチームとどう落としこむかで何度か協議はしました。ニューバランスとしてはNマークを打ち出していこうとしている中で、あそこまで静かなNマークで良かったのかとか。結果いいバランスで落とし込めたと思います。
--ニューバランスがスポーツカンパニーである以上、スニーカーから"N"マークを消すというのはありえないんですかね?
モリタニ: そうですね。2015年秋冬のモデルなどを見る限り、前よりはだいぶ広がりを感じます。Nマークが重要なのではなく、スニーカーを見たときにニューバランスの商品だって分かることが最重要なので、それが商品に反映されていれば"N"マークがなくても問題にはならないかもしれないです。時間も必要な気がしますが。
--このカラーリングは、どう決めたんですか? 日本では2色、グローバルでは3色ですが、もっとあったんですか?
モリタニ: もっとありましたね、ネービートかバーガンディとか。ただ、やっぱり最初ということで、黒とグレーと、レザーシューズなのでブラウンも展開したいと。
--量産を見越しながら、サンプルを作っていく上で、工場側の反応はどうだったんですか?
モリタニ: 細かいディテールの部分では結構問題が多くて、一番大きいのが内側のピッグスキンとモールドされているメッシュを綺麗に組み合わせて縫う部分は最後の最後まで苦労しましたね。あとアウトソールは従来の「1600」のソールではなく新しいものに変更しているのですが、「1600」のミッドソールの底面にぴったり合わせないといけないので、型を別に作り直しました。フラットで貼り付けるだけだと、履いているうちにサイドがめくれてきてしまいますから。
--テストで履いてるそうですが、履き心地や経年変化具合はいかがですか?
モリタニ: はき心地は良いです。アウトソールが若干重いので重量感はありますが、履いた感じは気にならないですね。僕は、ミンクオイルを何度か塗りこんだので革の雰囲気も良くなってきています。ブラウンはとくに味出しを楽しめるんじゃないでしょうか。
--今回、動画も連動していますが、そのコンセプトはどういったものだったんですか?
モリタニ: このモデルはグローバルで「ML2016TOKYO」と名付けられていて、東京のモダンさやクラフトマンシップが織り込まれた東京発信のプロダクトという考え方なので、映像も東京っぽい雰囲気に仕上がっていますね。
--発売が待ち遠しいですね。今日はありがとうございました!
ニューバランスのグローバルビジネスユニット TOKYO DESIGN STUDIOというデザインチーム内にてマネージャーを務める。ニューバランスの新しいデザインを企画したり、スニーカーに限らずアパレルなどの企画などにも参画し、新たなニューバランスを築き上げていく存在。ジャパンだけにとどまらず、グローバルにも精通。
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