- 2015.08.19
- NEWS
Interview with Shigeyuki Kunii about mita sneakers × New Balance MFL574
ニューバランスを代表するスタンダードモデルとなった「574」に、高機能の最新ソールユニット「フレッシュフォーム(FRESH FOAM)」を搭載し、タウンユース仕様にアップデートさせた新モデル「MFL574」。そのコラボレーションモデルが、ミタスニーカーズから登場するとの報を聞きつけ、クリエイティブディレクターの国井栄之さんにインタビューを敢行。その気になる内容について訊いてきました。
--今回の「MFL574」のミタスニーカーズモデルの企画は、いつ頃スタートしたんですか?
国井栄之(以下国井/敬称略): 1年半くらい前ですかね。ちょうど、「MFL574」のインラインモデルの開発がスタートしたのと同時くらいだと思います。前回リリースした「MRT580」のネクストモデルという形で、FRESH FORMのソールにクラシックな「574」のアッパーを融合させて、リインベントを施したモデルを登場させるという構想をうかがって、同時に着手した感じです。
―最初に、FRESH FORMのソールに「574」のアッパーを融合させるという、「MFL574」のコンセプトを聞いて、どう思いましたか?
国井: うーん、そうですね...。自分的には違和感のあるハイブリットの方が好きでして。「ハイブリット」というのは異なるもの同士が掛け合わさることだと考えるので、ビジュアル的には違和感を感じるくらいミックスされている方が良くて、でも履いたときの体感はしっくりくる。そんな良い意味で裏切られたくらいが心地好いので、面白いなとは思いました。
―このコンセプトは世の中に受け入れられる、と思いましたか?
国井: 個人的には好きですが、コンシューマー(一般の方々)がスンナリと受け入れられるかは悩みました。今までのニューバランスの魅力って、どうしてもヘリテイジ性だったり、クラフトマンシップが前面に出て、少々ファンタジーを求める部分が強かったと思うんです。ですから、パフォーマンスでテクノロジーが優れているモデルを推す場合、良いものは良いというのは伝わるとは思いますが、その機能性やデザインがタウンユースとして必要? という疑問視が浮かび上がり、それに対してどう応えられるかなという悩みはありました。
―確かに。オーセンティックを愛する人にはタウンユースとしてはオーバースペックに映る可能性はありますよね。では、そんな中でミタスニーカーズとしてリリースする「MFL574」は、どんな落とし込みを考えたのですか?
国井: 最初の着想としては、やはりニューバランスのヒストリーを盛り込もうと考えました。かつて、「574」が日本に初めて上陸した際に、いろいろなパートナーと一緒にコラボレーションを実施して、最後にミタスニーカーズが締め括りとして「ヒストリーグラデーション」という、ニューバランスのヒストリカルなシューズのエッセンスを各所に散りばめたモデルをリリースしたのですが、そのコンセプトを再度取り入れました。実際、「574」の基となったモデルは「576」なので、そのオリジナルのスウェードとメッシュのコンビ、コードバンのカラーリングなどを組み合わせて、グラデーションで配置しました。
―前回リリースしたモデルを踏襲している感じですか?
国井: 当時のものは、「990」と「1300」、「576」を組み合わせていまして。今回は「574」が誕生するまでというコンセプトで、「576」のオリジン的な要素のみで構成しています。あとは「ZANTE」などで使用しているFRESH FORMのソールの色が真っ白でパフォーマンスシューズ色が強かったので、少し温かみがあって経年変化している雰囲気も感じさせるクリームっぽい色にアレンジして、アッパーのデザインに馴染むようにしました。
―最初のコンセプト通りで決定しましたか?
国井: 悩みはなく、いつもコラボレーションを実施する際は最初に商品を見て浮かんだイメージで進めるので、今回も同様でした。
―それでは、実際に企画がスタートしてサンプルが上がってきてから、修正点などはありました?
国井: えーと...、最初のプロトタイプ時はアンクル(くるぶし)近くの切り替えができなかったんですが、そのブロックがセパレートになることはデザイン的に重要だからと説得して変更してもらったのと、ライニングを足当たりが良い素材に変更したくらいですね。
―と言うことは、インラインも、このコラボレーションのおかげでブロッキングが変更になったわけですね。
国井: そうですね。
―トータル面で仕上がり的には、いかがですか?
国井: インラインとは異なる人工皮革のスウェードを使用させてもらったアッパーだったり、見た目とかカラーリングだったりは、結構ポピュラーな仕様にしているので、受け入れて頂きやすい仕上がりになっていると思います。
―今までのニューバランスらしさはバランス良くキープできていますよね。
国井: 以前もお話ししましたが、MADE IN U.S.A.、MADE IN ENGLANDの良さっていうのは変わらずにあって、そんな中でアジア製として開発されたモデルの良さっていうのは機能性だと思っているんです。ちなみに、ニューバランスが今までリリースしてきたアジア製のパフォーマンスモデルって、どうしてもスポーツ色が強くてカラーリングが派手だったりして街履きするのはハードルが高かったですよね。でも、今回のモデルはヘリテージ性が強かったニューバランスのイメージを刷新させつつ、スポーツブランドとしての新たなポジションを確立させていますし、「ニューバランス=履き心地が良い」だけではなく、最先端の機能を備えてタウンユースでも履けるという新しいイメージを抱くには最適なモデルだと思います。
―では、ミタスニーカーズとしては、どんな提案の仕方をしていきますか?
国井: ニューバランスは良くも悪くもヒストリー性やアーカイブ性が強く、今までは「イノベイティブ」という言葉があまり似合わないブランドだったんですが、これらのモデルをきっかけにニューバランスの先鋭的な部分をニューバランスらしいスタイルで提案できると思うので、そこを知ってもらいたいですね。
―その役割は果たしてくれそうですね。
国井: 僕らの役割は、普段オーセンティックなニューバランスに惹かれている方々が、先鋭的なパフォーマンスシューズにも興味を持ってもらう橋渡し。それが上手く伝えることができれば良いと思っています。
―期待しています。今回はありがとうございました!
MFL574 "History Gradation" "mita sneakers" ¥14,800(税別)
ミタスニーカーズ(mita sneakers)
03-3832-8346
www.mita-sneakers.co.jp
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