人、モノ、情景、それらと出会った瞬間のきらめきや感情を、写真という表現方法を用いてリアルに切り取る写真家の大森克己さん。’90年代のデビュー以来、国内外のさまざまな場所を訪れ、歩き、シャッターを押し続けてきた。そんな気ままな旅では、首からカメラを下げ、”DAY PACK”を背負うのが定番のスタイル。「歩いているときにこそ、さまざまな発見がある」という大森さんにとって、写真を撮る以上、両手は常にフリーにしておくことが旅の流儀である。
「たまにカメラバッグを持つこともありますが、” DAY PACK ” ひとつで出かけることの方が多いですね。予備のカメラ、小さな三脚、お風呂セットに着替えと本、僕の必要最低限の荷物を収められる容量があるから何かと便利」
この10年ほど、あらゆる旅先でお供を務めてきた”DAY PACK”だが、カモフラ柄は実は2代目。衝動買いで購入したという初代のスペクトラは酷使の末に大往生したのだが、それが思った以上の働きを見せたことから”DAY PACK”が大森さんの愛用品リストに名を連ねることに。長く使い続けられる理由は、飽きのこないシンプルなデザインと背負い心地の良さ。どこに何を入れたかわからなくなるから、フロントポケット以外に細かな収納のない構造も、大森さんにとっては勝手がいい。ちなみにこちらの2代目もいい感じにヘタっているうえ、縫い目はほつれ、穴まで開いている。
最近はクラシックのコンサートや落語の寄席に出かける機会も増え、脱Tシャツ・脱スニーカー志向だという大森さん。そんなことから夏季以外の3シーズンはコートを着ていることが多いそうで、映画『バードマン』を鑑賞した際はマイケル・キートンのよれっとしたコート姿に親近感を覚えたとか。「ああいうちょっとくたびれたコートやジャケットにも似合うデイパックが僕の理想のバッグ。決しておしゃれである必要はないのだけれど、やっぱりどこかに”洒落"は欲しいかな」
バッグ:グレゴリー(DAYPACK)
その他:私物
Photo_Masami Sugisaki
Text_Ryoko Kuraishii