旅、アウトドア、部屋をテーマに、それぞれのシーンにおける「あったら便利なもの」を展開する〈フィクチュール(Ficoutur)〉。なかでも、タウンユースはもちろん、自然のフィールドや旅先でも活躍するオリジナルのデイパックが好評を博している。「アパレルブランドが安易に手がけた、という見え方のバックパックは絶対に避けたかった」と言うのは、〈フィクチュール〉デザイナーの山根さん。自分たちの理想のバックパックを追求するため、過去にリリースされたバッグを解体して、パターン、縫製などを徹底的に研究したとか。
「名作と言われるデザインって、バランスが絶妙なんです。なかでもグレゴリーの”DAY PACK”は最強。たとえば、三日月型のボトムデザイン。奥行きのあるサイズなので容量はきちんと確保しつつ、背中の曲線に馴染む形状だから背負った時の後ろ姿がスマートに見えるんです。また、体にフィットする『く』の字型の背面パッドは、バックパックに物を入れたとき、横の広がりを抑えてくれる。太さ・厚みが絶妙のショルダーハーネス、男心をくすぐる太めのYKKコイル10番ジッパー……。デザインや仕様は当然異なりますが、グレゴリーの”DAY PACK”における哲学は、フィクチュールのバックパックにも生きているんです」
作り手としては、プロダクトとは時代のニーズに即して形を変えていくものだと思う反面、だからこそ「変わらないこと」の偉大さを肌で感じている。
「デザインが変わらないのは、すでに完成されたデザインだから。どこにも手を加える必要がない、という解釈です。アウトドア派はもちろん、モード系の人が持ってもかっこいい”DAY PACK”は、世代、スタイル、男女を問わず、誰が持ってもしっくり馴染む。まさに究極のデイパックだと思っています」
バッグ:グレゴリー(DAYPACK)
その他:私物
Photo_Masami Sugisaki
Text_Ryoko Kuraishii